「機能性メソポーラス材料の研究開発」

《概要》
現在,メソポーラス材料に関する研究は,合成,構造解析から触媒担体,吸着剤,光学材料,生医学応用をはじめ様々な応用研究まで多岐にわたり展開されている。合成面から着目すると,ミクロ,メソ,マクロレベルの異なったスケールを視野に入れ研究が発展してきている。メソスケール構造の精密制御や配向制御をはじめ,マクロスケールでの形態制御が試みられ,粒子のみならず薄膜,モノリス,ナノ粒子,ファイバー等が報告されている。

最近では,ミクロスケールでの細孔壁の組成の多様化や,有機修飾による細孔環境のデザインなどが進み,無機物質に留まらず,無機有機ハイブリッドや有機高分子単独系を含む系へと展開している。国内では,太陽化学が大量生産化に向けたプラントを三重県に建設するなど,ゼオライト・カーボンなのチューブの次のナノ材料の一つとして注目されている。今後,メソポーラス材料のリマーカブルな応用例の発見が,メソポーラス材料の更なるブレークスルーを起こすと考えられている。

本プロジェクトにおいては,高表面積・均一細孔などの構造の特徴を活かせる環境浄化の応用に目標を絞り研究を展開する.


《主な研究テーマ》
(1)有害物質の吸着材料としての展開
メソポーラスシリカの細孔壁に有害な金属イオンと強い相互作用する有機基を修飾させるなどし,吸着材料としての応用展開を図る。水からの有害な金属イオンの回収を第一段階のターゲットとし,有機の種類と量の変化による吸着挙動の調査をする。メソ細孔の大きさ,メソ細孔構造の違いによる吸着挙動の変化に着目し,最適なメソ(ナノ)構造を調べる。

(2)浄化触媒としての応用
界面活性剤などの有機分子を用いて,白金にナノポーラス構造を形成させ高い表面積を実現させる.ナノメートルオーダーで細孔の開いた白金の材料を合成することで,より少ない白金の使用量で,高い活性を有する白金触媒の実現が期待できる。表面積の飛躍的な増加は,界面活性剤の種類や分子量を変えることによる細孔サイズの制御で可能となる。合成に関与する各種パラメーターを調査し,表面積との関係を調査する.また,他の実用化されている白金触媒との比較を行い,本材料の触媒としてのポテンシャルを検討する。


【参画メンバー】
リーダー Yusuke Yamauchi 国際ナノア-キテクトニクス研究拠点(MANA)
JSPSポスドク  Liang Wang
JSPSポスドク Norihiro Suzuki
ポスドク Ming Hu
リサーチアシスタント Taketoshi Fujita  
リサーチアシスタント  Kimiko Takai  
早稲田大学博士課程 Hongjing Wang  
早稲田大学博士課程 Hamed Ataeeesfahani  
早稲田大学博士課程 Xiangfen Jiang  
早稲田大学博士課程 Nagy L. Kamal