講演要旨
原子間力顕微鏡 (AFM) によるナノメカニクスは材料表面の弾性率像や凝着エネルギー像などを提供できる手法である。このような評価はAFM探針と試料表面が接触した際の力と変形量の関係をHertz理論やDMT理論、JKR理論といった接触力学モデルで解析することで実現できる。しかしながらこれらの理論は弾性体を仮定しており、ガラス転移温度が室温に近い粘弾性材料には近似的にしか適用できない。本講演ではAFMをプローブとして行う弾性計測を粘弾性材料に拡張するための試みについて紹介する。フォースモジュレーションと接触力学を組み合わせた損失正接マッピングや標準粘弾性モデルと接触力学を組み合わせたJohnson標準粘弾性モデルの適用可能性について議論する予定である。