表界面物理計測グループ

2023.04.01 更新

過去の研究グループ (2023年3月末時点のアーカイブページ)

表界面物理計測グループでは、表面反応の素過程や、反応によって生じた物性変化を、物理化学的に追及しています。産業等、近視野的に利用すべきターゲットを追うのがNIMSのプロジェクト研究なら、それと並行してプロジェクトで利用されている物理現象が、一体何に起因しているのかを探る事が、当グループの目的です。実験系ではありますが、基礎物理学に近い研究を行っています。

新着 - What's new? -

2023年3月 グループ終了のお知らせと、2023年4月からについて

表界面物理計測グループは2023年3月31日をもって終了いたします。 板倉をはじめとするグループメンバーは2023年度より
 マテリアル基盤研究センター 先端解析分野 実働環境電子顕微鏡開発グループ
に所属し、それぞれの研究を継続いたします。
本サイトはアーカイブとして残ります。
今まで本サイトをご覧くださったみなさま、どうもありがとうございました。
今後もどうぞよろしくお願い申し上げます。


2023年3月 板倉明子定年記念講演会のお知らせ (3/29 (水) 13:00より)

当グループのグループリーダーである板倉明子が、この三月で定年退職いたします。 4月以降も研究員としてNIMSにて研究を進めますが,一つの区切りとして、これまでの研究について下記日時にて定年記念講演会を行うこととなりました。
お時間が許せば是非ご参加ください。
また周囲にご縁がある方がいらっしゃいましたらお声がけください。

日時 : 2023年3月29日 (水) 13 : 00~14 : 00
場所 : 千現地区 8階中セミナー室+オンライン(ハイブリッド形式)
 ※中セミナー室での参加は申込者多数の為、現在ではオンラインでの参加のみ募集しております。※
表題 : 物理と表面と真空と女性科学者とかなんとか
講師 : 板倉 明子グループリーダー
https://www.nims.go.jp/research/materials-analysis/events/amcpseminar_itakura.html
▶参加登録は下記サイトからお願いいたします.
https://forms.office.com/r/SPNLUV1rwy
参加登録締切3月28日(火)


2023年3月『e-Journal of Surface Science and Nanotechnology』に板倉らの共著論文が掲載

2023年3月、宮内・板倉らの共著論文が『e-Journal of Surface Science and Nanotechnology』に掲載されました。
タイトル : Classification of EBSD Kikuchi patterns for stainless steel by unsupervised learning methods to investigate grain boundaries


2023年2~3月 大分工業高等専門学校の共同研究メンバーが来構

2020年度から3年間継続して「NIMS連携拠点推進制度」に採択されており、大分工業高等専門学校との共同研究をおこなっています (研究テーマ : 水素分離膜の構造解析と局所拡散挙動の解明) 。
機械・環境システム工学専攻2年生のお二人は2月~3月の1週間つくばに滞在し、機構職員とともに実験・測定等を行いました。
3月には、学務でお忙しい中、松本佳久副校長も来構され、研究打合せや実験に参加されました。
学生さんお二人はこの春高専を卒業し、それぞれ大学院の修士課程に進学されます。
今後の研究活動に、機構での経験が少しでもお役に立つことを願っております。

なお、NIMS連携拠点推進制度については、こちらに案内があります。

宮内とともにPCを見ながら議論する研修生2名の写真

実験室にて


研修生2名と、板倉・宮内の写真

研究本館ロビーにて




2023年2月 『表面と真空』に矢ヶ部らの共著論文 (研究紹介) が掲載

2023年2月、矢ヶ部・宮内・北島・板倉らの共著論文 (研究紹介) が『表面と真空』66巻に掲載されました。
タイトル : 水素センシングおよび物質への吸蔵現象の理論的解釈


2022年8月~9月 インターンシップ生滞在

8月下旬より大分工業高等専門学校の学生さん1名がNIMSに滞在し、当グループのインターンシップ生として20日間にわたり実験・測定・解析・ディスカッション等を行いました。 メインは、水素顕微鏡やその他の表面分析装置を利用した試料の計測とその解析でした。
このインターンシップによりご本人の卒業研究が進展するとともに、国立研究機関での経験が今後の役に立つことを願っています。

なお、NIMSのインターンシップ制度については、公式サイト内に案内があります。
NIMSインターンシップ制度

実験室にて


NIMS中庭にて




2022年4月 グループメンバー更新

3月末に、北原昌代さんと西岡隆志さんが退職されました。
4月1日から、艸分倫子さんがNIMSエンジニアとして当グループに加わりました。


2022年3月 大分工業高等専門学校の共同研究メンバーが来構

2020年度から引き続き2021年度も、NIMS連携拠点推進制度を利用した大分工業高等専門学校との共同研究をおこなっていました。
新型コロナがなかなかおさまらない中、双方で調整をし、2022年3月後半に松本佳久副校長と3人の学生さんがNIMSを訪れ、学生さんたちは10日あまりの滞在期間中に共同研究テーマである「⽔素分離膜の構造解析と局所拡散挙動の解明」の研究として、オペランド水素顕微鏡、オージェ電子分光装置を用いて、実験を行いました。

今後も、測定試料の郵送でのやり取りやオンラインでのディスカッションなども含め、安全に留意し工夫しながら協働を続けていきたいと思います。

打合せの様子


実験室での様子




2022年3月 研究紹介ムービーの英語版公開

研究紹介ムービー「金属をもろくする水素の動きが見える ! 世界唯一の電子顕微鏡」(2019年1月)の英語版が公開されました。 Observing hydrogen’s corrosive effects on metals with a unique microscope! - YouTube

水素社会の到来を迎え、注目を集める水素顕微鏡の概略が紹介されています。
3年前のデータなので、今後新しい動画を公開していこうと思います。


『表面と真空』に宮内・板倉らの共著論文が掲載

2021年10月、宮内・板倉らの共著論文が『表面と真空』64号に掲載されました。
タイトル : 鉄鋼試料中水素拡散評価を目指したマルチモーダルデータ解析


グループ員の昇任

2021年10月1日、当グループ宮内特別研究員が、材料分析ステーション表面・微小領域分析グループの主任エンジニアになりました。これからも、併任として水素顕微鏡研究に携わります。

壇上であいさつする宮内エンジニア。背後のスクリーンに指名・顔写真・新所属が映し出されている。

職員紹介でのあいさつの様子




Scientific Reportsに矢ヶ部・宮内・板倉らの論文が掲載

2021年9月、矢ヶ部・宮内・板倉らの論文がScientific Reportsに掲載されました。
タイトル : 2‑step reaction kinetics for hydrogen absorption into bulk material via dissociative adsorption on the surface


『表面と真空』に大西・矢ヶ部・板倉らの論文が掲載

2021年9月、大西・矢ヶ部・板倉らの論文が『表面と真空』に掲載されました。
タイトル : ヘリウムイオン顕微鏡による表面化学分析用標準試料の経年変化の解析


科学新聞に掲載 - TIAかけはし成果報告会での板倉の記念表彰・講演について

2021年7月23日、科学新聞に、板倉のTIAかけはし記念表彰・講演が取り上げられました。

【記事の要旨】
オープンイノベーション拠点のTIAは7月14日、連携推進事業である「かけはし」の第5回成果報告会をオンラインで開催。
これまで同事業で大きな成果をあげた2課題をとりあげ、2人の代表研究者を表彰し、その記念講演を行った。

表彰された1件は「オペランド水素顕微鏡の開発とその展開」で、代表の板倉明子氏が表彰されて記念講演した。
金属を腐食させる金属中の水素を検出するオペランド水素顕微鏡を開発し、これを用いた研究成果をあげ、金属材料以外のセラミック材料への応用や、拡散防止膜・改質表面の検査への可能性を示唆した。
もう1件は「グライココード (糖鎖暗号) の解読による次世代医療技術の開発」で、代表の舘野浩章氏 (産総研) が表彰されて講演した。
糖鎖解析に用いられるレクチン (糖鎖受容体) を用いて、5年生存率が10%ほどとされる膵ガンの治療薬開発に取り組み、マウス実験で抗腫瘍効果を確認、現在は筑波大と連携して治療薬・診断薬を開発中である。

このほか、20年度課題から10件の報告を行った。
これら課題の報告概要、記念講演概要、20年度・21年度課題ポスターは、TIAホームページで公開している。

※下のトピック (板倉がTIAかけはし成果報告会で表彰、記念講演) 中の、【板倉よりコメント】もご覧ください。


板倉がTIAかけはし成果報告会で表彰、記念講演

表彰状


2021年7月14日 (水) に第5回TIAかけはし成果報告会が開催され、かけはし5周年記念表彰が行われました。
その受賞者の一人として、当グループのグループリーダー板倉明子が選ばれました。
成果報告会では、記念講演を行い、Zoomで配信されました。


【板倉よりコメント】
TIAかけはしは他の研究機関との共同研究が基本です。
代表として私が授賞いただきましたが、2016年TIAかけはし研究課題である「材料およびバリア膜・コーティング膜評価のための、吸着・脱離・透過測定装置開発に関する調査研究」をもとにした研究で、
参画者 (2016年応募時の所属)
 産総研 : 吉田肇、新井健太、小畠時彦、
   KEK : 間瀬一彦、谷本育律、菊地貴司
 筑波大 : 久保 敦、関場大一郎、
   東京大学 : 福谷克之
 東邦大学 : 宮内直弥、高木祥示、
   成蹊大学 : 中野武雄、青柳里果  (以上敬称略)
 NIMS 矢ヶ部太郎、村瀬義治、土佐正弘
での共同研究になります。


Scientific Reportsに板倉・宮内・矢ヶ部らの論文が掲載

2021年4月、板倉・宮内・矢ヶ部らの論文がScientific Reportsに掲載されました。
タイトル : Model of local hydrogen permeability in stainless steel with two coexisting structures


『軽金属』に板倉の解説が掲載

2020年12月、板倉の解説が一般社団法人軽金属学会 会誌『軽金属』に掲載されました。
タイトル : 金属板を透過した水素の実時間可視化


Materials Transactionsに板倉・宮内らの共著論文が掲載

2020年12月、板倉・宮内らの共著論文がMaterials Transactionsに掲載されました。
タイトル : Evaluation of Surface Damage of Pd Using Cross-Sectional Electron Backscatter Diffraction Analysis


nature Scientific Reportsに関禎子らの論文が掲載

2020年10月、関禎子らの論文がnature Scientific Reportsに掲載されました。
タイトル : Direct visualization of the extracellular binding structure of E-cadherins in liquid


2020年9月 大分工業高等専門学校との共同研研究スタート

松本教授 (左) と研究室の皆さん


2020年9月 NIMS連携拠点推進制度にて、当グループと大分工業高等専門学校 松本佳久教授との共同研究を開始いたしました。テーマは「水素分離膜の構造解析と局所拡散挙動の解明」です。新型コロナウィルス対策で、学生さんたちがつくばまで来られないため、web会議からのはじまりとなりましたが、測定試料の郵送でのやり取りやオンラインでのディスカッションなど、安全を確保したうえでできる限り進めていきたいと思います。


Applied Surface Scienceに宮内らの論文が掲載

2020年5月、宮内直弥らの論文がApplied Surface Scienceに掲載されました。
タイトル : Visualization of local hydrogen diffusion in stainless steel using time resolved electron stimulated desorption


Journal of Vacuum Science Technology Bに板倉・宮内らの共著論文が掲載

2020年4月、板倉・宮内らの共著論文がJournal of Vacuum Science Technology Bに掲載されました。
タイトル : Fusion data analysis of imaging data of hydrogenpermeated steel obtained by complementary methods


Journal of Physics Communicationsに矢ヶ部太郎らの論文が掲載

2020年2月、矢ヶ部太郎らの論文がJournal of Physics Communicationsに掲載されました。
タイトル : Hydrogen detection using membrane-type surface stress sensor


研究紹介ムービーが公開されています (2019年1月)

NIMSが製作したムービーを集めたライブラリ内で、板倉グループリーダーと宮内研究員が出演する動画が公開されています。
「金属をもろくする水素の動きが見える ! 世界唯一の電子顕微鏡」
水素社会の到来を迎え、注目を集める手法の概略が紹介されています。ぜひご覧ください。

※リンク先の動画は著作権法で保護されており、営利・非営利いずれの目的に関わらず、無断で転載・流用することはできません。


そのほかのお知らせ

表界面物理計測グループは、先端材料解析研究拠点に属しています。
先端材料解析研究拠点のセミナー、ニュース、プレスリリース等は、こちらをご覧ください

また、過去のお知らせはページ下方に掲載されています。


専門分野・研究対象

以下の分野のテーマで研究をしています。
  • 表面や界面における現象を、電子分光、表面応力、微量元素の放出測定などの手法で追跡します。
  • 反応性の薄膜と吸着物が作る応力の発生から分子吸着を判定することで、センサー開発をします。
  • 金属材料表面から発生する水素を可視化し、材料中の水素挙動を解明することで水素周辺材料の研究に貢献します。


研究トピックス :  オペランド水素顕微鏡による水素の可視化

■オペランド水素顕微鏡とは何か?

材料の微細構造およびバリア膜・接合界面等からの、ガス透過放出位置を可視化する装置です。
板状金属の背面から水素等を供給し、反対面から放出される原子・分子を電子衝撃脱離法 (DIET法) により検出し、画像化することで、固溶サイトや透過経路を解明する装置を開発しました(特開2017-187457,特願2018-26518) 。

図1. 電子遷移誘起脱離による水素可視化原理の模式図




市販のSEMに水素導入系とイオン検出器を付加し、独自の開発プログラムで、放出水素をその位置情報とともにパルスカウントで計測、画像化します。

図2. オペランド水素顕微鏡模式図 : 電子顕微鏡にイオン検出器と質量分析器を付加し、電子線と同期させて画像を取ることで、透過した水素の二次元分布を画像化する。




■ステンレス鋼(SUS304)を透過する水素の測定例

オペランド水素顕微鏡の測定例として、ステンレスSUS304鋼のSEM写真と、同じ場所のDIET水素像を比較してみます。
試料は100μmの隔板形状で、結晶粒のサイズは約100μmに調整しました。オーステナイト結晶粒はSEM増で明るく見えます。冷間加工で入れたマルテンサイト転位はSEM画像では黒い線に見えます。この試料を用いて、オペランド水素顕微鏡で測定した水素の表面分布を比較します。

図3. (a) 電子顕微鏡像。一辺の長さは330μm。結晶粒の縁の集まった、粒界多重点を白丸で記した。(b) 背面に水素を供給してから、3時間後までにDIETで放出した水素像。




加工転位を入れたSUS304試料の電子顕微鏡写真と(図3 (a))、同位置からのDIETによる水素放出です(図3 (b))。測定時の温度は473Kで、背面に水素供給してから3時間までの水素放出の積分値になります。白丸でくくった、粒界3重点、多重点から、水素が多く発生していることがわかります。

図4. (a) 電子顕微鏡像。一辺の長さは330μm 。結晶粒の縁に沿って目視のための線を書き入れた。(b) 背面に水素を供給してから、55時間後までにDIETで放出した水素像。(a)に書き入れた線を、(b)図に重ねている。




SEM像での結晶粒の明るさに注目しながら、SEMとDIETの画像を比較してみましょう (図4 (a) および (b) ) 。

SEM像中の粒子形状は、水素分布の濃淡と重なっている部分が多いです。 言い換えれば、55時間で透過してきた水素の量が結晶粒に依存しているということです。 水素の拡散定数は縞模様に見えるマルテンサイト構造の方が、オーステナイト構造よりも大きいことがわかっています。しかしながら、マルテンサイト結晶粒のいくつかは高い水素分布を示していません。

次に隔板を透過する水素の経路を検討しました (サンプルの厚さは100μm、粒径は100〜150μm) 。

図5. 板材を透過する水素の拡散経路のモデル




図5では隔板を透過する水素の経路を、4種類と仮定しました。 (a) 単一の縞模様の結晶粒、つまりマルテンサイト転位の入った結晶粒を通って拡散する水素、 (b) 単一のオーステナイト粒子を通って拡散する水素、 (c) 転位を含んだ粒と含まない粒の双方を拡散する水素、 (d) 粒界を通って拡散する水素。こう考えると図3,4の解釈が容易になります。

さらに、水素の拡散は結晶方位によって異なるはずです。すでに電子後方散乱回折 (EBSD) の測定と比較することによって、SEM画像で単一の粒子に見えていたオーステナイト結晶粒に2つ以上の結晶方位が存在していることを確認しました。粒界の構造を考慮するとき、隣接する粒子の結晶方位によって粒界の性質が変わります。

将来的には、水素のDIETマッピングとEBSD測定を含む構造解析分布図と、オペランド水素顕微鏡の水素像とを比較する予定です。


■改質表面やコーティング層の評価例

超高真空チャンバーの内面は真空環境を保持するために、耐食性が高く、また、ガスが吸着しない・放出しない表面が望まれます。(株)コンタミネーション・コントロール・サービスの開発した酸化クロム偏析表面(SPP処理)の評価を行い、低ガス放出面であることを確認しています。(A.N. Itakura et al., Vac.Surf.Sci. 61 (2018) 675-680

(a)

図6. 塩酸蒸気に1時間晒し(a)、大気中に1週間置いた表面。(b)は一般的な電解研磨したSUS316鋼。表面、(c)は電解研磨の後に熱処理を加えて酸化クロムで被覆したSUS316鋼。


(b)


(c)




水素に対する影響を評価するため、オペランド水素顕微鏡で酸化クロム偏析表面を評価したところ、偏析膜により水素放出が1/3以下に低下したこと、ただし、一部の傷から、水素が湧き出していることがわかりました。
(N.Miyauchi et al., Appl.Surf.Sci.492 (2019) 280–284)

図7. (a)の状態で並べて測定したときのSEM像(b)と水素放出像(c)、およびライン評価(d)
(b)の中央の黒い領域は、並べた2つのサンプル間の空きスペース。SPP処理表面(上半分)、下半分の電解研磨表面。 (c) は (b) と同じ空間の200℃の温度での水素マップ。 (d) は (c) のラインA-BおよびC-Dのラインプロファイルを示す。




研究トピックス :  歪み計測による分子検知

■パラジウム合金を用いた水素ガスの検知

準備中 (特願2017-155808,特願2019-40136)


■分子鋳型ポリマーを用いたタンパク質の検知

準備中


研究トピックス :  テスト薄膜から実用デバイスへ 新しい計測の展開

GaN:Eu赤色発光ダイオードの多次元状態マッピング


光ルミネッセンス測定は、光る半導体の探査や選定に欠かせない。しかし、実際の発光デバイスを光らせるのは、光ではなく注入電荷である。
最近、発光ダイオードの多次元状態マッピング法が当研究室で開発された。電荷の注入制御 (パルス駆動周波数) の軸を加えた三次元発光スペクトル (図) は、光ルミネッセンスではわからなかった、GaN:Eu LED (次世代GaNベース赤色発光ダイオード : 大阪大学工学部提供) 固有の発光機構をナノスケールで明らかにした。


過去のお知らせ

日刊工業新聞にオペランド水素顕微鏡の紹介記事

2019年11月13日、日刊工業新聞「材料進化の最前線」でオペランド水素顕微鏡が紹介されました。板倉が記事を執筆しています。

【要旨】
材料中に水素が入ることでもろくなる「水素脆化」現象は「腐食」と並ぶ課題でありながら、水素原子の観察・検出が難しいため研究が遅れています。 そのような中、板倉らのグループは、水素の検知装置としてオペランド水素顕微鏡を開発し、材料中の水素透過場所の可視化に成功しました。
今後は他分野の研究者とも協力して水素脆化のメカニズムを解明し、その抑制につなげようと考えています。


Vacuum and Surface Scienceに宮内直弥らの解説(和文)が掲載

2019年10月 宮内直弥らの解説(和文)がVacuum and Surface Scienceに掲載されました。
タイトル : オペランド水素顕微鏡による水素分布の観測


Vacuum and Surface Scienceに岩澤智也らの論文(和文)が掲載

2019年10月 岩澤智也らの論文(和文)がVacuum and Surface Scienceに掲載されました。
タイトル : ステンレス鋼を透過した重水素の挙動観察


Applied Surface Scienceに宮内直弥らの論文が掲載

 2019年6月 宮内直弥らの論文がApplied Surface Scienceに掲載されました。
タイトル : Visualization and characterization of localized outgassing position on surface-treated specimens: Chromium oxide layer on stainless steel


Proceedings of the 29th ISOPE に板倉明子らの論文が掲載

2019年3月、板倉明子らの論文がProceedings of the 29th ISOPEに掲載されました。
タイトル : Two Dimensional Visualization of Hydrogen Permeated Through a Stainless Steel Membrane


NIMSジュニア研究員 岩澤智也が、講演奨励賞を受賞

 2018年11月19日~21日、神戸国際会議場で開催された「2018年日本表面真空学会 学術講演会」において、当グループのNIMSジュニア研究員で筑波大学大学院 数理物質科学研究科 前期課程2年 (発表当時1年) の岩澤智也が、講演奨励賞 (スチューデント部門) を受賞しました !
発表題目 : 「ステンレス鋼を透過した重水素の挙動観察」
 
2019年5月の同学会総会において、表彰状とメダルが贈呈されました。

2019年5月18日 表彰式の様子。左から4人目が岩澤氏。


NIMS 界面制御実験棟にて。




機構の広報誌に、研究紹介記事掲載のお知らせ

当機構の広報誌『NIMS NOW』Vol.16 No.3に、グループリーダーの板倉による「水素透過型測定顕微鏡で水素の道すじを明らかに」と題する記事が掲載されています。
こちらからPDFファイルでご覧いただけます。


研究会のご報告

Solution to quenching problems of nano opto-electronic materials in international framework
「ナノ光電子材料における消光問題の国際的枠組による解決」研究会
を、2016年8月19日 (金) 13:00-17:30に、京都大学 人間・環境学研究科セミナー室で開催いたしました。詳細はこちらまで。


最近の刊行物

グループから発表された最近の論文や著作です。過去の発表はNIMS研究者総覧 (下記「関連リンク」または上記「グループメンバー」からアクセス) でご覧ください。

20232021
  • 青柳 里果, 秋山 智美, 鈴木 菜摘, 宮内 直弥, 板倉 明子, "鉄鋼試料中水素拡散評価を目指したマルチモーダルデータ解析" 表面と真空 64 [10] (2021) 472–475 DOI https://doi.org/10.1380/vss.64.472
  • T. Yakabe, G. Imamura, G.Yoshikawa, N. Miyauchi, M. Kitajima & A. N. Itakura, "2‑step reaction kinetics for hydrogen absorption into bulk material via dissociative adsorption on the surface" Scientific Reports. 11 (2021) 18836 https://doi.org/10.1038/s41598-021-98347-4
  • 大西桂子, 永野聖子, 藤田大介, 矢ヶ部太郎, 板倉明子, "ヘリウムイオン顕微鏡による表面化学分析用標準試料の経年変化の解析" 表面と真空 64 [9] (2021) 424-429 (2021) DOI https://doi.org/10.1380/vss.64.424
  • Akiko N. Itakura, Naoya Miyauchi, Yoshiharu. Murase, Taro. Yakabe, Masahiro. Kitajima, Satoka Aoyagi "Model of local hydrogen permeability in stainless steel with two coexisting structures" Scientific Reports 11 (2021) 8553 10.1038/s41598-021-87727-5
  • Yoshiharu Murase, Naoya Miyauchi, Akiko Itakura, Hideki Katayama, "Evaluation of Surface Damage of Pd Using Cross-Sectional Electron Backscatter Diffraction Analysis" MATERIALS TRANSACTIONS. 62 [1] (2021) 41-47 10.2320/matertrans.mt-m2020220

2020
  • Taro Yakabe, Gaku Imamura, Genki Yoshikawa, Masahiro Kitajima, Akiko N Itakura,“Hydrogen detection using membrane-type surface stress sensor” Journal of Physics Communications. 4 [2] (2020) 025005 10.1088/2399-6528/ab7319
  • 板倉 明子, "金属板を透過した水素の実時間可視化" 軽金属 (一般社団法人軽金属学会 会誌) (2020) 556-561 10.2464/jilm.70.556 
  • Teiko Shibata-Seki, Masato Nagaoka, Mitsuaki Goto, Eiry Kobatake, Toshihiro Akaike, "Direct visualization of the extracellular binding structure of E-cadherins in liquid" nature Scientific Reports (2020) 10, 17044 10.1038/s41598-020-72517-2
  • 板倉 明子, "水素の動きを可視化する - オペランド水素顕微鏡の開発 - " WE-COMマガジン (2020) 37-1-3-1-37-1-3-12
  • Naoya Miyauchi, Tomoya Iwasawa, Yoshiharu Murase, Taro Yakabe, Masahiro Kitajima, Shoji Takagi, Tomomi Akiyama, Satoka Aoyagi, Akiko N. Itakura, “Visualization of local hydrogen diffusion in stainless steel using time resolved electron stimulated desorption” Applied Surface Science. 527 (2020) 146710 10.1016/j.apsusc.2020.146710
  • Tomomi Akiyama, Naoya Miyauchi, Akiko N. Itakura, Takayuki Yamagishi, Satoka Aoyagi, “Fusion data analysis of imaging data of hydrogen-permeated steel obtained by complementary methods” Journal of Vacuum Science & Technology B. 38 [3] (2020) 034007 10.1116/6.0000

2019
  • Naoya Miyauchi, Tomoya Iwasawa, Yoshiharu Murase, Shoji Takagi, Akiko N. Itakura, “Observation of Metal Surface by Operando Hydrogen Microscope” Vacuum and Surface Science 62 [1] (2019) 27-32 10.1380/vss.62.27
  • Naoya Miyauchi, Tomoya Iwasawa, Taro Yakabe, Masahiro Tosa, Toyohiko Shindo, Shoji Takagi, Akiko N. Itakura, “Visualization and characterization of localized outgassing position on surface-treated specimens: Chromium oxide layer on stainless steel” Applied Surface Science 492 (2019) 280-284 10.1016/j.apsusc.2019.06.172
  • Tomoya Iwasawa, Naoya Miyauchi, Takagi Shoji, Yoshiharu Murase, Yoichi Yamada, Akiko N. Itakura, Masahiro Sasaki,“Observation of behavior of deuterium permeated through stainless steel” Vacuum and surface science (2019) 635-640 10.14886/sssj2008.2018.0_142

2018
  • A. N. Itakura, M. Tosa, T. Yakabe, N. Miyauchi, A. Kasahara, T. Miyata, T. Shindo, “Low Outgas Surface Treatment of Stainless Steel 316L Using Segregated Chromium Oxide Layer” Vacuum and Surface Science 61 [10] (2018) 675-680 10.1380/vss.61.675
  • Masaya Toda, Koji Miyake, Li-Qiang Chu, Marjan Zakerin, Renate Förch, Rüdiger Berger, Akiko N. Itakura, “Young's modulus of plasma-polymerized allylamine films using micromechanical cantilever sensor and laser-based surface acoustic wave techniques” Plasma Processes and Polymers 15 [9] (2018) 1800083 10.1002/ppap.201800083
  • Naoya Miyauchi, Kenichirou Hirata, Yoshiharu Murase, Hiroyuki A. Sakaue, Taro Yakabe, Akiko N. Itakura, Tetsuji Gotoh, Shoji Takagi, “2D Mapping of Hydrogen Permeation from a Stainless Steel Membrane” SCRIPTA MATERIALIA 144 (2018) 69-73 10.1016/j.scriptamat.2017.09.026
  • Akiko N. Itakura, Naoya Miyauchi, et al., Compendium of Surface and Interface Analysis, Springer, (2018)

2017
  • Fengniu Lu, Tomohisa Takaya, Koichi Iwata, Izuru Kawamura, Akinori Saeki, Masashi Ishii, Kazuhiko Nagura, Takashi Nakanishi, “A Guide to Design Functional Molecular Liquids with Tailorable Properties using Pyrene-Fluorescence as a Probe” SCIENTIFIC REPORTS 7 (2017) 3416-1-3416-12 10.1038/s41598-017-03584-1
  • 板倉 明子, 宮内 直弥, 村瀬 義治, 高木祥示, “水素計測電子顕微鏡の開発” 配管技術 59 [13] (2017) 14-18
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