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マグネトエレクトリック結晶グループ

マグネトエレクトリック結晶グループはマルチフェロイック(Multiferroic)現象を示す結晶に関する研究をしています。マルチフェロイックとは、単一相の中で複数のフェロイック【強誘電性、(反または弱)強磁性、強弾性等】効果を発現する一連の物質・材料のことです。主として強誘電性と(反または弱)強磁性秩序を同時に発現する電気磁気効果を持つ強磁性強誘電体を指すことが多く、電気と磁気を結びつけることが可能なため、応用が期待されています。

専門分野・研究対象

最も実用化に近いマルチフェロイック材料は、室温よりキュリー温度、ネール温度が高いBiFeO3 (TC=1103K,TN=643 K)です。BiFeO3 では合成条件によりペロブスカイト型構造が異なり、菱面体晶系あるいは擬立方晶系(立方晶系に近い正方晶系)としての[001]hや[111]c 方位に沿ってG タイプ反強磁性スピン配置が生じています。室温では菱面体晶系の場合[110]h 方位に沿って62nm 周期の長周期磁気構造が現れるため、バルクでは巨視的な磁化はキャンセルされますが、薄膜ではこのような長周期磁気構造は存在しません。また本来は反強磁性ですが、薄膜ではスピンキャンティング(反平行からのずれ)により弱強磁性として観察されます。BiFeO3 は強誘電性を利用した強誘電体メモリデバイスとしての応用が期待されますが、リーク電流が大きいため良好な強誘電特性を得ることはバルク・薄膜ともに困難です。リーク電流の原因としては、酸素の格子欠陥と複数の価数を持つ鉄イオンにより浅い準位が生成するためと考えられています。
 当グループでは、リーク電流の抑制と強磁性特性の改善を目的に、薄膜に対しての添加効果を調べ、バッファー層の導入及び複数元素の共添加がリーク電流の減少に有効であることを明らかにしてきました。さらに、薄膜の場合に重要な基板について検討し、強磁性強誘電体どうしの二層膜形成について試みてきました。現在は材料学の立場から、マグネトエレクトリック結晶マルチフェロイック薄膜についての研究を進めています。 


「Bi5Ti3FeO15において、400 mV/Oe cm という大きな電気磁気 (ME) 結合係数を得た。図は印加磁化とME結合係数の関係。挿入図は室温でのMHヒステリシス。Zhao, Kimura et.al. Sci. Rep. 4, (2014), 5255。得られたME結合係数は従来報告 (0.1 mV/Oe cm*) より1000倍以上大きなものである。(*Bai et al.: Effects of Annealing Temperature on the Structures, Ferroelectric and Magnetic Properties of Aurivillius Bi5Ti3FeO15 Polycrystalline Films, J. Mag. Mag. Mat. 2012, 324, 2265-2270」の画像

Bi5Ti3FeO15において、400 mV/Oe cm という大きな電気磁気 (ME) 結合係数を得た。図は印加磁化とME結合係数の関係。挿入図は室温でのMHヒステリシス。Zhao, Kimura et.al. Sci. Rep. 4, (2014), 5255。得られたME結合係数は従来報告 (0.1 mV/Oe cm*) より1000倍以上大きなものである。(*Bai et al.: Effects of Annealing Temperature on the Structures, Ferroelectric and Magnetic Properties of Aurivillius Bi5Ti3FeO15 Polycrystalline Films, J. Mag. Mag. Mat. 2012, 324, 2265-2270




~最近の研究トピック~

マグネトエレクトリック効果の発現

「図  ME結合係数の磁界依存性と室温   でのMH曲線Zhao et al, Sci. Rep. 7, (2014) 5255」の画像

図  ME結合係数の磁界依存性と室温
   でのMH曲線
Zhao et al, Sci. Rep. 7, (2014) 5255


目 的 :  Aurivillius 系Bi5Ti3FeO15 層状化合物は、従来のBiFeO3を凌ぐマグネトエレクトリッ ク効果 (ME) が期待されます。
チャレンジ :  PLD法によりBi5Ti3FeO15 薄膜を成膜し、ME効果を評価します。
成 果 :  従来報告より1000倍以上大きな400 mV/Oe×cm というME結合係数が得られました。


結晶成長過程その場観察法の開発

「図  基礎研究 : Sr(NO3)2−H2O 系の  結晶成長過程 (生成相の変移) Maiwa et al, Cryst Growth Design15 (9), (2015), 4672 」の画像

図  基礎研究 : Sr(NO3)2−H2O 系の
  結晶成長過程 (生成相の変移)
Maiwa et al, Cryst Growth Design15 (9), (2015), 4672


目 的 :  多くの結晶系は包晶状態図を持つため結晶成長過程は複雑で、まずは基礎研究として結晶成長その場観察技術の確立が必要です。
チャレンジ :  典型的な包晶状態図を持つSr(NO3)2−H2O 系における結晶生成相のその場観察法を開発します。


グループリーダー

(きむら ひでお)

木村 秀夫

(きむら ひでお)


グループメンバー

お問い合わせ先

マグネトエレクトリック結晶グループ
〒305-0047
茨城県つくば市千現1-2-1
TEL: 029-859-2437
E-Mail: KIMURA.Hideo=nims.go.jp ([ = ] を [ @ ] にしてください)
国立研究開発法人物質・材料研究機構
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
TEL.029-859-2000 (代表)
FAX.029-859-2029