積層スマート材料グループ

本グループでは、輸送機器や社会インフラなど、構造材料分野を支える金属、セラミックス、複合材料についての研究開発を行っています。大きくは、構造部材へのコーティング技術や積層造形技術、信頼性の確保や寿命診断において重要な非破壊評価技術、計算科学やデータ科学を活用したコンピュータによる材料設計・性能予測技術 (マテリアルズインテグレーション) について研究しています。

専門分野・研究対象

1. 概要

コーティング技術では、従来NIMSにおいて精力的な研究開発が進められてきた溶射法やウォームスプレー法など、微粒子を堆積させて成膜あるいは造形する三次元積層技術について、主に開発を行っています。
 
非破壊評価技術では、レーザ超音波やテラヘルツ波、X線などを利用した先進的な非破壊評価技術の開発を進めています。微粒子積層技術とセンシング技術を材料開発として融合させることで、耐環境性付与による長寿命化とともに、各種センサを表面あるいは内部に包含した材料開発を推し進め、将来的には、材料自身が劣化損傷を知覚し、その進行を抑制する防御策を取るようなスマート材料あるいは材料システムの実現を目指しています。
 
また、近年大きな注目を集めるマテリアルズインテグレーション技術開発に精力的に取り組んでおり、コンピュータ上で計算科学やデータ科学を活用し、材料の組織や性能を予測する技術の開発、およびそれらを統合したシステム開発を進めております。この研究活動は、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム (SIP) 「革新的構造材料」 (H26.10~H31.3) の中で、東大・NIMS拠点における研究開発として強力に推し進めています。
 
 これらの技術を組み合わせ、従来では実現できなかった、多様な材料を組み合わせるマルチマテリアル化や、複雑な構造を内包する部材を創出し、世界に先んじた革新的なスマート材料の実現を目指しています。

「図. 積層スマート材料グループの研究概要」の画像

図. 積層スマート材料グループの研究概要




2.コーティング技術開発

(1) 新しいコーティングプロセスWarm Sprayの開発

厚膜コーティングを形成する代表的なプロセスが溶射です。従来の溶射は、原料を溶融した粒子の状態で基材に堆積させてコーティングを形成しています。しかし、材料によっては大気中で酸化する等の劣化反応が生じる、気孔等の欠陥が多いという問題点がありました。我々は、大気中で原料粉末を軟化状態に加熱して基材に高速度で投射するWarm Spray法を開発し、大気中でチタンやWC-Co等の材料に適用し、緻密で劣化の少ないコーティングの作製に成功しました。

(2) コーティングプロセス解析・モニタリング

同じ原料を用いても、プロセス条件によって得られるコーティングの組織や特性は大きく変化します。粒子堆積というプロセスの特殊性のために、その基礎的な特性は十分には解明されていません。我々は、単一粒子の衝突現象や単一スプラットの組織解析、成膜中のAE測定、成膜中の応力・歪測定などの基礎成膜現象解明のツールを内外の研究者と協力しながら開発し、コーティングプロセスのより本質的な理解と信頼性向上を目指しています。

「図. Warm Sprayプロセスの原理」の画像

図. Warm Sprayプロセスの原理


「図. 固相でアルミニウム基材状に衝突したチタン粒子の断面TEM像とFEMシミュレーションの比較」の画像

図. 固相でアルミニウム基材状に衝突したチタン粒子の断面TEM像とFEMシミュレーションの比較


「図. TBCに関連した溶射プロセス基礎研究 : 単一粒子から膜形成までを統合的に解明」の画像

図. TBCに関連した溶射プロセス基礎研究 : 単一粒子から膜形成までを統合的に解明




3. 非破壊評価技術開発

(1) レーザ超音波法
(2) EMAT、渦電流探傷
(3) テラヘルツ波を利用した非破壊評価



国立研究開発法人物質・材料研究機構
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