耐熱材料設計グループ

燃焼機関のエネルギー効率を向上させCO2排出量を削減するためには、400~800℃における中温域において、優れた高温機械特性、クリープ特性、耐酸化特性を有する耐熱材料の開発が求められています。そこで、400から800℃の中温域で使用可能な鉄基合金、チタン基合金を開発するために、ユニットの他グループと連携しながら、新たな強化機構の探索・解明、耐酸化・腐食特性の向上、最適なコーティング材料探索、などを行い、材料設計指針を確立します。

専門分野・研究対象

グループのメンバーは、全員、「低炭素化社会を実現する耐熱・耐環境材料の開発」プロジェクトに参画し、プロジェクトの2つのサブテーマを担当します。

1. フェライト系超耐熱鉄合金

「図1. 析出強化型15Crフェライト超耐熱鉄合金の典型的な組織フェライト母相中に微細な析出物が生成し、高温強度が飛躍的に向上しました。」の画像

図1. 析出強化型15Crフェライト超耐熱鉄合金の典型的な組織
フェライト母相中に微細な析出物が生成し、高温強度が飛躍的に向上しました。


「図2. 開発合金と既存耐熱鋼のクリープ破断時間の応力依存性」の画像

図2. 開発合金と既存耐熱鋼のクリープ破断時間の応力依存性


既存のフェライト耐熱鋼は、焼戻しマルテンサイト組織の微細ラス構造と炭窒化物の析出で強化されています。しかし、マルテンサイト組織は、高温で長時間使用していると、材質劣化に伴い強度が弱くなります。そこで、第二期のプロジェクトでは、容体化熱処理による低転位密度化とフェライト母相中の金属間化合物の析出強化により、高温強度と組織の長時間安定性を高めた「析出強化型15Crフェライト超耐熱鉄合金」を提案しました(図1)。そして、熱膨張率・製造性やコストを既存フェライト耐熱鋼と同程度に保持したまま、650℃において既存フェライト耐熱鋼の2倍以上のクリープ破断強度を有する合金を開発しました (図2) 。


第三期では、析出強化型15Crフェライト超耐熱鉄合金の、700℃以上でのクリープ強度を測定し、新しい高温強度発現機構を解明します。また、水蒸気酸化特性や溶接性を検討し、最適な合金組成範囲や熱処理、材料組織を決定します。そして、発電プラント等の大型高温構造材料に応用するための新しい材料設計指針を提案します。


2. 高温軽量合金

「図3. チタン合金の開発年度と耐用温度600℃以上で使用可能な材料設計指針を確立します。」の画像

図3. チタン合金の開発年度と耐用温度
600℃以上で使用可能な材料設計指針を確立します。


耐熱チタン (Ti) 合金は、比重が軽いため、ジェットエンジン部材として使われてきました。従来の耐熱チタン合金は、600℃以上では、短時間使用後に、急激に強度が低下し、また激しく酸化するために、長時間使用ができませんでした。そこで、従来のチタン合金で検討されなかった新たな析出物、酸化物、炭化物などによる新しい析出強化方法を用いて新たな耐熱Ti合金を開発します。さらに、600℃以上の使用に耐えうるようなコーティング材料・組織を検討することにより、高温で長時間使用可能な材料設計指針を確立します。 (図3)


「図4. 形状記憶合金の変態温度と仕事400-600℃で従来材のTiNiに匹敵する仕事量を示す材料を探索します。」の画像

図4. 形状記憶合金の変態温度と仕事
400-600℃で従来材のTiNiに匹敵する仕事量を示す材料を探索します。


高温材料の新たな展開として、高温で優れた強度を示すだけではなく、優れた機能性を有する材料を検討します。具体的には、変形後、温度変化を感知して形状回復する、高温形状記憶合金について研究を行います。形状回復に関係するマルテンサイト変態を制御することにより、400から600℃の温度範囲で、形状回復する合金の探索を行い、高温形状記憶合金の材料設計指針を確立します。 (図4)


お問い合わせ先

耐熱材料設計グループ
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
E-Mail: MITARAI.Yoko=nims.go.jp([ = ] を [ @ ] にしてください)
国立研究開発法人物質・材料研究機構
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
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