2016年度 (平成28年度) 第6回 GREEN拠点賞決定

2017.07.05 更新

GREENでは平成23年度より、若手研究者奨励を目的にナノ材料科学環境拠点賞 (GREEN拠点賞) を設けています。この度、平成28年度の研究活動を対象に第6回授賞者が決定、第15回 GREENシンポジウム (6月29日) において顕彰しました。

ナノ材料科学環境拠点 (GREEN) 拠点賞

慎重で厳正な選考の結果、先進賞は野村 晃敬氏 (GREEN) に、オープンラボ賞は松井 雅樹氏 (神戸大学) 、短期RA賞は桑田 紘子氏 (三重大学) 決定し、授与しました。

受賞者と魚崎拠点長 (左から2人目)


表彰される野村 晃敬氏 (右) と魚崎拠点長 (左)




先進賞


野村 晃敬  氏
(リチウム空気電池特別推進チーム、NIMS研究員)

実用的なリチウム空気電池の創出に向けた高性能空気極の開発
Development of highly efficient air electrode toward practically available Lithium-Air Battery cells

受賞者は、現在の蓄電池をはるかに超える高いエネルギー密度をもった蓄電池として、将来的な実用が期待されているリチウム空気電池に対して、その電池特性を引き出すことのできる空気極 (正極) の開発を行っている。その中で受賞者は、柔軟かつ強靭なカーボンナノチューブのシートを作成し空気極に用いることで、極めて高い蓄電容量をリチウム空気電池セルから引き出すことに成功した。それに加え、実際の運転環境を想定し、大気中の水分の影響を調べるなど、現実に高エネルギー密度なセルを組み立てるうえでの重要な研究を着々と進めている。このように受賞者は、先進性に相応しい研究成果を挙げており、その先進性を称え、今後の一層の発展を期待して、授賞する。


オープンラボ賞


松井 雅樹 氏
(神戸大学、准教授)

硬X線光電子分光法の革新蓄電池材料解析への応用
Application to Hard X-ray photoelectron spectroscopy analysis to innovative storage battery materials

ALCA SPRINGとGREENの協働の枠組みでGREENが所有する先端計測技術をALCAの次々世代蓄電池材料の研究・開発に有効に活用した。また、この研究に積極的に学生を参加させたことにより、当該学生に飛躍的な成長が見られた。「国内外の学生を受け入れる事により、最先端の物質・材料研究を学ばせその資質の向上を図る」というGREENの理念をまさに体現しており、今後の発展が期待される。このように、受賞者は、オープンラボ事業に最も相応しい研究成果を挙げており、その努力と成果を称え、今後の一層の発展を期待して、授賞する。


短期RA賞


桑田 紘子 氏
(三重大学、博士後期2年)


Mg二次電池に資する負極材料の酸化被膜に関する研究
Study of oxide coating films of negative electrode materials for Mg secondary ion battery

スパッタ法によって作製された独自のMg薄膜材料を持参し、蓄電池基盤PFにおいて硬X線光電子分光測定を実施することによって、深さ方向における酸化被膜の分布を非破壊的に分析した。論文化といった目に見えるアウトプットにはまだ達していないものの、試料作製時における技術的課題を浮き彫りにすることができており、研修としてまたものづくりへの計測技術のフィードバックという観点で高い意義があり、今後の活躍が期待される。このように、受賞者は、短期RA事業の精神に最も適うものとして、短期RAでの経験を糧とし、今後一層成長することを期待し、授賞する。