2012年度 (平成24年度) 第2回 GREEN拠点賞決定

2013.07.05 更新

GREENでは、若手研究者奨励を目的にナノ材料科学環境拠点賞 (GREEN拠点賞) を昨年度 (平成23年度分対象) からはじめています。

この度、第2回授賞者を平成24年度での研究活動を対象に決定し、第6回 ナノ材料科学環境拠点シンポジウム (6月27日) の機会に顕彰しましたので報告します。

ナノ材料科学環境拠点 (GREEN) 拠点賞

 今回からはGREENおよび参画機関の研究者が対象の先進賞以外に、オープンラボ研究者、長期RA、短期RAの該当者を対象とする賞を新設しました。また、対象者は要件を満たすものすべてとしました。その結果、第2回の対象者は合計59名の多数となりました。

 慎重で厳正な選考の結果、先進賞は石田 暢之、西川 慶、大西 剛の3氏に、オープンラボ賞は高橋 弘樹氏に、長期RA賞は府金 慶介、大川 侑久の両氏に、そして短期RA賞は青木 菜々、伊藤 滋啓の両氏 (各賞いずれもアルファベット順) にそれぞれ決定し、授与しました。 また外部機関からのGREENへの格別の寄与を評価し、鶴岡工業高等専門学校を特別表彰することにしました。授与式には、わざわざ加藤 靖校長にお出でいただくことができ、双方にとって有意義な交流機会となり、今後の一層の連携推進を確認しあうことができました。


 授与式では各授賞者ごとに授賞理由を紹介し、賞状とトロフィーを魚崎 浩平拠点長から直接手渡して、シンポジウム参加者とともにお祝いしました。



賞状とトロフィーを手にする受賞者、並びに関係者


魚崎拠点長より授与される秋田大 高橋助教 (左)




GREEN特別表彰 鶴岡工業高等専門学校

加藤 靖 鶴岡高専校長 (左) と魚崎拠点長 (右)


鶴岡高専は機関として組織的にGREENと密接な関係を発展しつつある。特に、GREENグループの運営の定着と発展のための准教授の常駐研究者としての派遣、オープンラボの積極的提案、短期RA制度を利用した学生インターンシップによる学生の教育への活用など、多面的かつ戦略的に組織的連携を展開されており、その熱意と寄与を高く評価したい。

リンク  :  鶴岡工業高等専門学校


先進賞


石田 暢之 氏
(ナノ表界面計測グループ、NIMSポスドク研究員)

走査オージェ電子分光によるリチウム状態評価
Evaluation of lithium chemical states by scanning Auger microprobe

授賞者は、オージェ電子分光(AES)とEELSを組み合わせて、金属リチウムの表面一層程度のわずかな酸化状態の違いのイメージング、カーボン負極での充電状態の違いによるリチウム濃度分布の変化の観察などに成功した。この手法は、リチウムとピークが重なるためAESでは評価が難しい遷移金属を含むリチウム化合物の評価に応用できる可能性があり、今後実材料に適用していくことが期待される。


先進賞


西川 慶 氏
(界面制御電池材料創製グループ、NIMSポスドク研究員)

シリコン1粒子の充電反応に伴う体積変化の実測
Measurement of volumetric change of a single silicon particle during charging reaction

授賞者は、シリコンの単粒子測定によって、シリコン粒子の体積膨張を実測することに世界に先立ち成功した。この本結果は第80回電気化学会にて発表し、同時にプレスリリースも行い、大きな反響を呼んでいる。この成果は、今後の二次電池のより高度な設計に直接活かされたり、基本メカニズム解明のための新しい実験手段としての活用も期待される。
 



先進賞


大西 剛 氏
(エピタキシャル薄膜電池材料グループ、GREENリーダー)

パルスレーザー堆積法による薄膜生成
Thin film preparation by pulsed laser deposition

授賞者は、パルスレーザー堆積法で薄膜成長させる際の様々な問題点を克服し、界面研究に重要な原子レベルで平坦な表面を有する高結晶性の薄膜作製に成功した。これは、全固体二次電池の基本現象の解明に向けた材料、計測、計算の融合研究の重要基盤の一つとなっている。
 



オープンラボ賞


高橋 弘樹 氏
(秋田大学大学院工学資源学研究科、助教)

部分還元したPt系酸化物触媒表面上でのメタノール酸化反応における反応生成物の分析
Analysis of reaction products of methanol oxidation on the surface of partially-reduced platinum oxide catalyst

授賞者によるオープンラボは、既に独自技術である電気化学計測で得られていた知見を、GREENの独自技術であるその場表面増強赤外測定法によって分光学的にも検証することに成功するというオープンラボ研究らしい成果を挙げた。授賞者は前所属にてオープンラボ研究者の研究室の大学院生として参画した経験を基に応募しており、また、現所属の大学院生を短期RAとして参画させ、教育の機会としても積極的に活用している。
 



長期RA賞


府金 慶介 氏
(固体酸化物形燃料電池材料設計グループ、博士後期3年)

授賞者は、合成、分析、計算を融合して、Pt表面の本来の活性機能を発揮させるPt/CeOxヘテロ界面の設計法に明確な方向性を与えることでGREEN研究に貢献した。外部受賞もしている。


長期RA賞


大川 侑久 氏
(ナノ構造制御電極触媒グループ、博士後期3年)

授賞者は、白金ルテニウム合金作製手法の違いによりルテニウムと酸素種の比率およびルテニウムに結合している酸素種が変化し、それに伴い白金ルテニウム合金のメタノール酸化反応に対する電極触媒活性が向上することを見出し、GREEN研究に貢献した。


短期RA賞


青木 菜々 氏
(お茶の水女子大学大学院、博士前期2年)

授賞者は、平成24年度において、博士前期2年として本制度を活用し、その経験と成果を元に、平成25年度からは博士課程に進んだ。その際に、長期RAに応募し、採択され、現在長期RAとして参画している。


短期RA賞


伊藤 滋啓 氏
(神奈川大学大学院、博士後期3年)

授賞者は、平成24年度において短期RA制度を最もよく活用した学生として際立った実績を残しており、その研究成果も良くまとまっている。しかも、4月から鶴岡高専に助教として就職し、これからもGREENとの連携の継続も期待される。