第75号

2017.12.13 発行


今号の内容

  1. 最新研究ニュース・アクセスランキング (11/15~12/09)
  2. 未来の科学者たちへ #13 「エアロゲル断熱材」
  3. 第3回 東北大&GREEN合同シンポジウム開催のお知らせ (12/22)
  4. 『NIMS NOW』最新号連動コラム「私とNIMS」~阿部英司・東大教授~

1 : 最新研究ニュース・アクセスランキング (11/15~12/09)

【1】“火を消す”高性能電解液を開発

http://www.nims.go.jp/news/press/2017/11/201711280.html

今回もっともアクセスを集めたのが、東大・京大・NIMS共同開発の「“火を消す”高性能電解液」に関するニュース。燃えやすいリチウムイオン電池の電解液ですが、共同研究チームは、200℃以下では引火せず、200℃を超えると消化性の蒸気を発生する電解液の開発に成功しました。“燃えない”電池として、車載用など高い安全性が求められる場面での活躍が期待されます。

開発を主導した東大の山田教授は、「寿命など電池としての性能は従来と同等以上。しかも電解液を変えるだけなので従来の生産ラインがそのまま使えるのもメリット」と語ります。

どのように消火機能を実現したのでしょう?

【2】リチウム空気電池のエネルギー効率と寿命を大幅に改善する電解液を開発

http://www.nims.go.jp/news/press/2017/07/201707311.html

続いて、EV関連で注目を集めているリチウム空気電池の研究が前回と同じくランクイン。

【3】透過中性子によるスピン配列の観測に成功

http://www.nims.go.jp/news/press/2017/11/201711170.html

そして3番目は、次世代磁気メモリの開発に欠かせない、電子のスピン配列を観測する新技術です。これまでスピン配列の観測には、試料に中性子ビームをあてて、回折した中性子を使っていましたが、NIMSは、試料をまっすぐに突き抜けた「透過中性子」で観測することに、世界で初めて成功しました。

実は透過中性子による観測の方が、磁性材料に新機能をもたらす、未知のスピンを観測しやすくなるんです。鍵は中性子が「まっすぐ突き抜ける」こと。


2 : 未来の科学者たちへ #13「エアロゲル断熱材」

エネルギーの消費を少なくするため、熱の伝達をおさえる断熱材の重要性が今まで以上に高まっています。

外気の影響を極力少なくすれば、冬の暖房、夏の冷房を少ないエネルギーで賄うことができます。ここにきて注目され始めたのは電気自動車の断熱です。

エンジンの廃熱を暖房に使う従来の自動車と違って、熱源のない電気自動車は電気を消費して熱をわざわざ作り出さなくてはなりません。航続距離を伸ばすためには、高性能の断熱材によって一度暖めた車内の温度を長時間保ち、暖房のための電力を節約することが求められます。

NIMSが開発している断熱材の性能は驚くべきものがあります。
ほんの数ミリの厚さで枯れ葉が燃えるのを防ぐ。本の数ミクロンで水滴の蒸発を防ぐ。下記リンクからご覧ください。


3 : 第3回 東北大&GREEN合同シンポジウム開催 (12/22)

クリーンエネルギー技術の開発を連携して進めるNIMSと東北大が、最新の研究成果を披露するシンポジウムを開催します。

招待講演では、京セラの吉田真氏をお招きし、京セラが誇るファインセラミック技術を活用した高効率な燃料電池「SOFC (固体酸化物形燃料電池) 」の開発について語っていただきます。さらに、NIMSと東北大の若手研究者が、ペロブスカイト太陽電池の耐久性を大幅に高めた画期的な成果など、最新研究成果を発表します。

グリーンイノベーションを目指した材料開発の最新情報を一度に知る絶好の機会です。満席になる前のご登録をお勧めします !

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第3回 東北大&GREEN合同シンポジウム (第16回GREENシンポジウム) 概要

日時 : 12月22日(金) 13:30-17:15 (懇親会 17:15-19:00)
場所 : NIMS並木地区 WPI-MANA棟 Auditorium
言語 : 日本語 (資料 : 英語)
参加費 : 無料
招待講演 :
「京セラにおけるSOFC発電システムの開発」
吉田 真 氏 (京セラ株式会社メディカル開発センター所長)


4:『NIMS NOW』最新号連動コラム 「私とNIMS」

広報誌『NIMS NOW』に掲載している、大学や企業などNIMSとゆかりのある方々のインタビューですが、字数の関係で本誌に入りきらなかった、みなさんのNIMSへの想い、研究への情熱をメルマガ限定でご紹介します。

今回は、最新号に登場いただいた東大の阿部英司教授。2004年までNIMSに所属していた阿部教授が、当時を振り返りながら、クロスアポイントメントによって再びNIMS所属となった想いを語ってくださいました。

阿部教授インタビュー掲載の『NIMS NOW』最新号
http://www.nims.go.jp/publicity/nimsnow/vol17/201705.html

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「私とNIMS」  阿部英司

学生時代からずっと、電子顕微鏡を使って原子レベルでの材料の構造解析を行なってきました。東大では主にマグネシウム合金の研究を行っていますが、2004年まで約10年間、NIMSで金属間化合物や準結晶のプロジェクトに参加していました。

NIMSにいた当時は、まわりの研究者と日々喧々諤々、口角泡を飛ばしながらケンカ腰で議論しながらやっていました。なので、私の10年前を知る人がNIMS NOWの記事を見ると、「なんか今すごい阿部ちゃん、言葉に気を付けてるよね」「猫かぶってるんじゃないの」って言われるでしょうけど、それは本当にその通り (笑)

ただ今思うと、そうやって激しい議論をしながら無我夢中で研究していた頃が一番楽しい時期だったと思うんです。私は本当に、NIMSに育ててもらったっていう気持ちが強いので、4月にクロアポでNIMSの所属にもなったのを機会に、何かNIMSに恩返しがしたいと。その気持ちに偽りはありません。

最近、博士課程へあまり日本人の学生が進学しなくなりました。本当のイノベーションと言いますか、高いレベルでのものつくりで日本が世界を引っ張っていくためには、やはり次の世代の若い人たちに支えてもらわないと。なので、学生にどんどんNIMSに来てもらって、私が昔感じたように、研究っていうのは面白いってことを肌で感じてもらえたらなと思います。

コンピュータとか機械学習が重要だと記事では言っていますが、最終的には人間の知性に戻ると私は信じています。やっぱり、人間、人材。それがすべてじゃないでしょうか。

阿部英司
東京大学大学院工学系研究科 教授
NIMS 構造材料研究拠点 主席招聘研究員


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