広報誌『NIMS NOW』に掲載している、大学や企業などNIMSとゆかりのある方々のインタビューですが、字数の関係で本誌に入りきらなかった、みなさんのNIMSへの想い、研究への情熱をメルマガ限定でご紹介します。
今回は、最新号に登場いただいた東大の阿部英司教授。2004年までNIMSに所属していた阿部教授が、当時を振り返りながら、クロスアポイントメントによって再びNIMS所属となった想いを語ってくださいました。
阿部教授インタビュー掲載の『NIMS NOW』最新号
http://www.nims.go.jp/publicity/nimsnow/vol17/201705.html
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「私とNIMS」 阿部英司
学生時代からずっと、電子顕微鏡を使って原子レベルでの材料の構造解析を行なってきました。東大では主にマグネシウム合金の研究を行っていますが、2004年まで約10年間、NIMSで金属間化合物や準結晶のプロジェクトに参加していました。
NIMSにいた当時は、まわりの研究者と日々喧々諤々、口角泡を飛ばしながらケンカ腰で議論しながらやっていました。なので、私の10年前を知る人がNIMS NOWの記事を見ると、「なんか今すごい阿部ちゃん、言葉に気を付けてるよね」「猫かぶってるんじゃないの」って言われるでしょうけど、それは本当にその通り (笑)
ただ今思うと、そうやって激しい議論をしながら無我夢中で研究していた頃が一番楽しい時期だったと思うんです。私は本当に、NIMSに育ててもらったっていう気持ちが強いので、4月にクロアポでNIMSの所属にもなったのを機会に、何かNIMSに恩返しがしたいと。その気持ちに偽りはありません。
最近、博士課程へあまり日本人の学生が進学しなくなりました。本当のイノベーションと言いますか、高いレベルでのものつくりで日本が世界を引っ張っていくためには、やはり次の世代の若い人たちに支えてもらわないと。なので、学生にどんどんNIMSに来てもらって、私が昔感じたように、研究っていうのは面白いってことを肌で感じてもらえたらなと思います。
コンピュータとか機械学習が重要だと記事では言っていますが、最終的には人間の知性に戻ると私は信じています。やっぱり、人間、人材。それがすべてじゃないでしょうか。
阿部英司
東京大学大学院工学系研究科 教授
NIMS 構造材料研究拠点 主席招聘研究員