TOP>コロイドフォトニック結晶の光特性
コロイドフォトニック結晶の光特性

Bragg反射特性

 コロイド結晶において外見上の最も顕著な特徴は、虹色に光って見えることでしょう。これは、コロイド結晶による光のBragg反射の結果であることは、いろんなところで述べました。Bragg反射の波長λを与える式は mλ=2ndsinθ です。ここでdは格子面の間隔、θは光の入射角(反射角もθ)、nはコロイド結晶の屈折率です。mは整数で反射の次数と呼ばれますが、最も強い反射は通常はm=1のときです。この式から、光の当たる角度や見る角度が変わると波長、つまり色、が変わることがわかります。また、格子面間隔dは、構成粒子の配列の間隔に依存します。そして、その間隔はさらに、粒子の大きさや粒子の充填率に依存します。即ち、コロイド結晶では、それを構成する粒子の直径や充填率を変えて作製することによって、見え方の異なる結晶を作り得るという自由度をもっていることになります。

フォトニック結晶らしい光特性

 コロイド結晶がBragg反射を示すことは、フォトニック結晶の概念が出現する以前から広く知られていたことで、目新しいことではありません。フォトニック結晶の出現以後に、決定的に変わったことは、コロイド結晶中の光の存在状態についての認識であると思います。これらのことを詳しく知るには、コロイド結晶中の電磁波の状態を理論的に扱うことにより導き出される「フォトニックバンド」というものを論じる必要があります。ここでは、その結果として現れる、顕著な光特性について概略を述べます。

 フォトニック結晶の出現以前は、コロイド結晶中の光は、Bragg反射を除いては、通常の均質媒体中と大差なく振舞うと、一般には認識されていたと思います。しかし、フォトニックバンド理論によると、コロイド結晶中の光の振る舞いは均質媒体とは全く異なります。例えば、Bragg反射される波長は一点の値ではなく有限の幅を持っており、その波長帯(より正確には周波数帯というべきですが)の光は結晶中での存在が禁止されています(この周波数帯のことをフォトニックバンドギャップという)。結晶中に存在が禁止されているために、結晶中に入れず、反射されていると考えることができます。あるいは、結晶中の欠陥などに何らかの理由で(例えば発光する不純物などがあったりして)光が入り込んだ場合には、結晶中を通れないので、その場所に閉じ込められてしまいます。あるいは、結晶中を伝わる光の速度が、方向や周波数に大きく依存し、極端に遅くなったり、止まることさえ出てきます。あるいは、光が、通常の媒質ではありえない奇妙な屈折の仕方をする場合が出てきます。これらのことは、全て、周期構造に原因があります。


Copyrights(c)2002-2009 Colloidal Photonic Crystals. All Rights Reserved