所長挨拶

ナノマテリアル研究所は、21世紀のキーテクノロジーであるナノテクノロジーの発展にマテリアルの観点から中心的な役割を果たすため、21 世紀の最初の春に設立されました。
ナノテクノロジーが今後のキーテクノロジーである所以は、それが情報通信技術、バイオテクノロジー、エネルギー工学、医療工学などの実用工学から物理学、化学、生物学、医学などの基礎科学にわたる広範な分野にブレークスルーをもたらす普遍的底流としての新技術だからです。ナノマテリアル研究所は、このキーテクノロジーの発展に特色のある役割を果たしたいと考え、高度に情報化された社会の実現を目指し、次世代の情報通信技術のための新しいナノエレクトロニクスデバイスの開発に主眼を置くことにしました。この目標に向けて、このたび若手研究者のリーダーシップに期待する組織改変を行い、13のグループからなる新体制を発足しました。これらのグループは、新物質の探索と創製、ナノ構造の加工と配列の制御、ナノスケールでの物性や機能の新しい計測法の開発など独自の研究を展開しながらグループ横断的な研究プロジェクトを通して互いに協力し合い、より高速で高集積度かつ低消費電力のナノデバイス、もっと柔らかい計算アルゴリズムのためのナノデバイス、超並列高速計算を可能にする量子計算のためのナノデバイスなどの開発を行います。
ナノマテリアル研究所は、物質・材料研究機構の「使われてこそ材料」という理念のもとに、技術シーズを実用化に向けてまず苗木に育てる研究が重要であると考えています。そのために企業との共同研究を積極的に進めます。一方、優れた技術シーズを生み出すための挑戦的な基礎研究こそが私共の使命であるとも考えています。それゆえ、既存技術やその派生技術においてベストワンを目指すよりは、むしろオンリーワンの新技術を開拓することを目指します。
我が国は長く不況の中にあって人々は自信を失っていますが、日本の技術力は独創性においても展開力においても世界屈指と言えます。それを有効に生かすシステムの構築が必要なのです。ナノマテリアル研究所は、物質・材料研究機構に置かれた全国的組織としてのナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンターの活動を積極的に支援することにより、日本のナノテクノロジー研究が全国の産官学の研究機関の相互協力によって円滑に推進されるよう尽力したいと考えています。
関係各位の暖かいご支援とご鞭撻を心からお願い申し上げます。

ナノマテリアル研究所 所長
青野正和