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化学反応中の元素の時々刻々の動きをX線の動画として取得する方法を確立

国立研究開発法人物質・材料研究機構

NIMSの研究チームは、化学反応中に時々刻々と変化する各元素の動きを、X線の動画として連続取得することに成功しました。

概要

  1. 国立研究開発法人物質・材料研究機構 先端材料解析研究拠点 桜井健次上席研究員と趙文洋NIMSジュニア研究員は、化学反応中に時々刻々と変化する各元素の動きを、X線の動画として連続取得することに成功しました。今回開発した蛍光X線動画イメージング法は、さまざまな化学反応系に柔軟に適用できるため、今後、化学反応における元素の役割をこれまでよりも詳細に理解できるようになると期待されます。
  2. 多くの化学反応では、構成元素の拡散や移動が起こります。反応中に、それぞれの元素の量・濃度がどの位置でどのように変化してゆくのかを正確に理解することは、再現性の高い合成法を確立し、さらに優れた合成の方法を見出してゆく上で非常に重要です。例えば、ケミカルガーデンと呼ばれる化学反応では、塩化カルシウムと硫酸鉄の混合粉末から、時々刻々に、ちょうど樹木が成長するように反応が進み、色や形が複雑に分布する物質が得られます (図左上) 。これまでは、こうした色や形状の変化を光学顕微鏡等によって観察し、元素の量や濃度の変化を間接的に解釈していたに過ぎず、直接元素をとらえる方法が模索されていました。
  3. 物質にX線を照射した際に出てくる蛍光X線のエネルギーから元素の種類が、その強度から量がわかることが知られています。この蛍光X線分析の技術を大幅に革新させ、イメージング、それも時々刻々の変化を記録する動画のイメージングの技術として発展させることができれば、化学反応の過程を追跡できるようになります。
  4. 研究チームは、可視光用途に提供されている冷却CCDカメラやCMOSカメラを用いて、投影法による蛍光X線イメージングの動画撮影に成功しました。実際、ケミカルガーデンの反応過程を撮影したところ、図の下部に示すように、鉄とカルシウムのそれぞれが異なる拡散速度で移動しており、ケミカルガーデンの色や形状の違いが鉄とカルシウムの濃度の差異によって生まれていることを明らかにしました。
  5. 今後は、さらに多くの化学反応系に応用し、そのメカニズムを元素の観点で解明し、材料開発に貢献したいと考えています。
  6. 本研究成果は、ACS Omega (アメリカ化学会のオンライン論文誌、DOI: 10.1021/acsomega.7b00930) に掲載されました (オンライン公開 : 現地時間2017年8月8日) 。

「プレスリリースの図 :  (左上) ケミカルガーデンの光学顕微鏡観察 (化学反応終了後)  (右上) ケミカルガーデン全体の蛍光X線スペクトル (化学反応終了後)  (下) ケミカルガーデンのカルシウムと鉄の蛍光X線動画イメージング」の画像

プレスリリースの図 :
(左上) ケミカルガーデンの光学顕微鏡観察 (化学反応終了後)
(右上) ケミカルガーデン全体の蛍光X線スペクトル (化学反応終了後)
(下) ケミカルガーデンのカルシウムと鉄の蛍光X線動画イメージング




本件に関するお問合せ先

(研究内容に関すること)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
先端材料解析研究拠点 
上席研究員 桜井健次 (さくらいけんじ)
TEL: 029-859-2821
E-Mail: SAKURAI.Kenji=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
(報道・広報に関すること)
国立研究開発法人物質・材料研究機構
経営企画部門 広報室
TEL : 029-859-2026
FAX : 029-859-2017
E-Mail: pressrelease=ml.nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
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