電解メッキ初期過程における電極近傍イオン種のリアルタイム観測に成功

−金属析出速度の支配因子を決定−

2017.04.21


国立大学法人千葉大学
国立大学法人東京農工大学
公益財団法人高輝度光科学研究センター
国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS)

千葉大学大学院工学研究院 中村将志准教授、星永宏教授、東京農工大学大学院工学研究院 遠藤理助教、高輝度光科学研究センター 田尻寛男研究員、物質・材料研究機構 坂田修身グループリーダーの研究グループは、金属イオンが析出する際の電極近傍におけるイオン種のリアルタイム観測に初めて成功し、金属イオンがどのように表面に接近し表面に吸着するかを明らかにしました。

概要

千葉大学大学院工学研究院 中村将志准教授、星永宏教授、東京農工大学大学院工学研究院 遠藤理助教、高輝度光科学研究センター 田尻寛男研究員、物質・材料研究機構 坂田修身グループリーダーの研究グループは、金属イオンが析出する際の電極近傍におけるイオン種のリアルタイム観測に初めて成功し、金属イオンがどのように表面に接近し表面に吸着するかを明らかにしました。

本研究グループは、電極界面の3次元的な構造がわかる表面X線回折法により時分割計測を行いました。電析電位へ変化させた時に1/2000秒の時間分解能で界面イオンを追跡したところ、電極表面に析出する前に、金属イオンが水和された状態で表面から3.2オングストローム (Å) 離れた場所に一時的に安定な構造をとることがわかりました。また、複数の金属イオンについて析出過程を調べたところ、金属イオンと水分子の結合の切れやすさが析出速度と関係していることがわかりました。

なお、本研究成果は、英国の科学誌「Scientific Reports」の2017年4月20日に発表されました。


「プレスリリースの図1: (a) Au(111)表面上におけるCu2+アンダーポテンシャル析出時のCTR散乱の時間変化。電位変化前のCTR散乱強度で規格化。(b)界面における各イオンの表面からの距離および存在量の時間変化。」の画像

プレスリリースの図1: (a) Au(111)表面上におけるCu2+アンダーポテンシャル析出時のCTR散乱の時間変化。電位変化前のCTR散乱強度で規格化。
(b)界面における各イオンの表面からの距離および存在量の時間変化。



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