抗血栓性と血管内皮形成に優れた薬剤溶出性ステントを開発
独立行政法人物質・材料研究機構
東京大学大学院医学系研究科
NIMS生体材料センターは、東京大学大学院医学系研究科、ニプロ株式会社と共同で、抗血栓性と血管内皮形成に優れた薬剤溶出性ステントの開発に成功した。
概要
- 独立行政法人物質・材料研究機構(理事長:潮田 資勝 以下NIMS)の生体材料センター(センター長:宮原 裕二)は、東京大学大学院医学系研究科(教授:永井 良三)、ニプロ株式会社(代表取締役社長:佐野 實)と共同で、抗血栓性と血管内皮形成に優れた薬剤溶出性ステントの開発に成功した。
- 狭心症や心筋梗塞に代表される虚血性心疾患の主要な治療法として用いられている薬剤溶出性ステント(DES)には、薬剤を徐放するための高分子マトリックスと薬剤に課題がある。抗血栓性と血管内皮形成を促す機能を合わせ持ち、副作用の少ない薬剤を徐放することが可能な薬剤溶出性ステントの開発が望まれていた。
- そこで、抗血栓性と血管内皮細胞接着性を示すクエン酸架橋アルカリ処理ゼラチン高分子マトリックスに、薬剤として臨床使用実績のあるタミバロテン(Am80)を組み込んでステントに搭載したAm80溶出性ステントを開発した。ステント拡張後の炎症反応が強い1-2週間において、多くの Am80が徐放され、薬剤徐放は8週に亘って持続した。また調製したAm80溶出性ステントをブタ冠動脈へ2週間留置した結果、良好な血管内皮形成が認められ、血栓形成も全く認められないことが明らかとなった。
- 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の患者は、超高齢社会の到来に伴い、年々増加している。一方、国内で使用されている薬剤溶出性ステントの90%以上は、海外企業製である。我々の開発した薬剤溶出性ステントは、日本独自の基盤技術を基に開発したものであり、国内医療機器産業の活性化と国際競争力を持った医療機器の創出に繋がると期待される。
- 本研究成果は、2010年2月17日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催されるNIMSフォーラム2010において発表される。

プレス資料中の図2
高分子マトリックスの血管内皮形成能(a)開発した高分子マトリックス(内皮形成あり)、b) 市販の高分子マトリックス(内皮形成なし))










