独立行政法人物質・材料研究機構 (以下、機構という) の研究成果を実用化する目的で起業したベンチャー2社、株式会社オキサイドと株式会社SWING間で資本提携を進め、さらにオキサイド社は上場へ向けて本格的に始動する。
株式会社オキサイドは機構の研究成果の実用化を目指した材料製造会社として2000年10月に設立された。欠陥密度を制御し光材料として優れた特性を有する定比タンタル酸リチウム、定比ニオブ酸リチウム単結晶を主製品としてこれらの市場化を目指した。一方、株式会社SWINGは、その材料を応用したデバイス製造会社として2003年5月にスタートした。レーザーの波長を変換する機能をもつデバイスを主製品としている。
オキサイドは起業後、光材料の種類を広げるとともにまたデバイスからモジュールまで事業を拡大し、資本金3億600万円、今期の売上げ約5億円、経常利益約2500万円まで成長した。国立研究所発の「もの作り」材料製造ベンチャーとして上記の規模まで成長することは非常に珍しい。多くの会社が注目しており、コバレントマテリアル (旧東芝セラミックス) 、トヨタ、ニコン、及び米国のKLA Tencorといった一流企業が株主として名を連ねている。この成長から、今年10月より監査法人および証券取引会社の監督のもとで、2009年春以降に上場を目指す。
一方、株式会社SWINGは創立以来4期連続黒字であり、昨年期は売上4000万円にまで至ってきたが、依然、機構研究者の兼業によるボランティア活動に依存している。市場がまだ大きく展開していないが、波長変換デバイスの需要は着実に延びつつある中で、大量生産に応える施設が不備である傾向が目に見えてきた。
そこで、両社は資本提携を進め、本格的に両社間の技術提携や、生産体制の充実化を図ることとした。SWING社は機構の研究者を中心とした個人が株を保有しているが、オキサイド社はこれらSWING社個人株主から全体株の44%を譲り受けることにより連結決算化し、オキサイド社との技術協力と経営指導を受けながらSWING社は開発的事業を進める。両社は機構発の兄弟ベンチャーであるが、その関係と役割を明確化して、より効率的な事業の展開と、シナジー効果を期待し資本提携契約を9月に行った。