水素を修飾したダイヤモンド表面に特有な巨大光伝導効果を世界で初めて発見

超高感度・深紫外線センサー開発への期待

2005.08.29


独立行政法人物質・材料研究機構

NIMSの物質研究所光学単結晶グループ、日本大学、早稲田大学は、世界最高効率の直交偏光光子対発生素子を実現し、量子情報通信用単一光子源および高効率な偏光量子もつれ光子対発生の実現にめどをつけた。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 岸 輝雄) が文部科学省の科学技術振興調整費「戦略的研究拠点育成」において運営している若手国際研究拠点 (センター長 : 板東 義雄) のホセ・アルバレッツ (Jose Alvarez) 特別研究員、物質研究所 (所長 : 室町 英治) スーパーダイヤグループの寥 梅勇 特別研究員、小出 康夫 主席研究員らは、水素修飾されたダイヤモンド表面に特有に現れる巨大光伝導効果を世界で初めて発見した。
  2. 地球環境問題への対応および安全・安心社会の実現のため、火炎や有害物質などを高感度・迅速に探知する小型・簡便なセンサーの開発は極めて重要な研究課題になっている。しかしながら、通常の光センサーは太陽光の波長に対しても応答してしまうという欠点があり、その欠点を克服したセンサーとして光電管が火災報知器などの用途ですでに実用化されているものの、駆動に高電圧が必要でありサイズも大きいことから小型・低電圧駆動のセンサー開発が待ち望まれていた。
  3. 今回、水素修飾されたボロン添加p型ダイヤモンド半導体のエピタキシャル単結晶層上に櫛形構造の金属電極を作製し、金属/水素修飾ダイヤモンド/金属型の接合構造を持つ紫外線センサーを試作した。わずか0.4Vの印加電圧での深紫外線 (波長220nm) 照射に対して1000万倍の光電流が流れ、巨大光伝導効果が現れることを見出した。
  4. この巨大光伝導効果は水素を除去した表面では観測されないことから、水素修飾表面に特有な現象であることがわかっている。更に、深紫外線の可視光 (波長630nm) に対する受光感度比は約7桁であり、平方センチメートル当たり1ピコワットもの微弱深紫外線を低電圧で検知する世界最高水準の性能を有しており、超高感度・深紫外線センサーの開発に応用されることが期待される。
  5. この研究成果は、9月12日発行 (9月5日オンライン公開) の米国科学誌「Applied Physics Letters」に掲載される。

「図1 試作した太陽光ブラインド紫外線センサーの概略図。」の画像

図1 試作した太陽光ブラインド紫外線センサーの概略図。


「図2 試作した太陽光ブラインド紫外線センサーの表面写真。」の画像

図2 試作した太陽光ブラインド紫外線センサーの表面写真。



お問い合わせ先

研究内容に関すること

独立行政法人物質・材料研究機構
物質研究所スーパーダイヤグループ
主席研究員
小出 康夫 (こいで やすお)
TEL: 029-860-4311 (ダイヤルイン)
FAX: 029-851-4005
E-Mail: KOIDE.Yasuo=nims.go.jp
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報道担当

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