直径52mm室温空間に定常磁場の世界記録を更新する35.5テスラの発生に成功

2005.01.26


独立行政法人物質・材料研究機構

NIMSの強磁場研究センター 磁場発生技術グループは、新しく開発した水冷銅マグネットを既存超伝導マグネットに組み込むことで、直径52mmの室温空間に一定時間維持する定常磁場としては世界最高の35.5T (テスラ) の発生に成功した。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 岸 輝雄) 強磁場研究センター (センター長 : 木戸 義勇) 磁場発生技術グループ (グループリーダー : 木吉 司) の浅野 稔久 主幹研究員らは、新しく開発した水冷銅マグネットを既存超伝導マグネットに組み込むことで、直径52mmの室温空間に一定時間維持する定常磁場としては世界最高の35.5T (テスラ) の発生に成功した。
  2. 直径50mm以上の室温空間に発生した定常磁場のこれまでの世界最高記録は当機構がハイブリッドマグネットで発生した、32.3Tであるが、この記録を更新した。
  3. 水冷銅マグネットは、その運転に非常に大きな電力を消費すると同時にコイルの材料強度の限界に近い強い電磁応力を受ける。昨年5月に室温空間直径32mmの国内記録を37.9T (世界第2位) と更新した時に採用した手法を、直径52mmの室温空間へ拡大した水冷銅マグネットの設計に取り入れ、水冷銅マグネットのコイルを構成するビッター盤 (図) の形状と積層方法を工夫することで、発生する磁場を従来より3.2T以上向上させた。
  4. 強磁場研究センターでは、現在ハイブリッドマグネットを含む各種強磁場マグネットを共同利用施設として外部機関に広く開放している。ハイブリッドマグネットでは直径52mmの室温空間を利用した測定の需要が多く、現在精力的に進められている高温超伝導体の機構解明や磁場中での新現象の探索も、より強い磁場で長時間計測できることになる。

「図 : 開発した水冷銅マグネットで使用したビッター盤の写真。細い孔は冷却水孔。」の画像

図 : 開発した水冷銅マグネットで使用したビッター盤の写真。細い孔は冷却水孔。



お問い合わせ先

研究内容に関すること

独立行政法人物質・材料研究機構
強磁場研究センター 磁場発生技術グループ 主幹研究員
浅野 稔久 (あさの としひさ)
TEL : 029-863-5527
E-Mail: ASANO.Toshihisa=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

報道担当

独立行政法人物質・材料研究機構 
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FAX:029-859-2017

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