二酸化チタン光触媒薄膜を無加熱で作製することに成功

セルフクリーニング機能を持つ窓ガラス・プラスチックの実現へ向けて

2004.09.29


独立行政法人物質・材料研究機構

NIMSの物質研究所は、建築用大面積ガラス表面等へ光触媒によるセルフクリーニング機能を付与する技術を開発した。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 岸 輝雄) 物質研究所 (所長 : 渡辺 遵) の亀井 雅之主幹研究員は、建築用大面積ガラス表面等へ光触媒によるセルフクリーニング機能を付与する技術を開発した。
  2. 現状の光触媒は一般に活性の強い二酸化チタン薄膜が使われており、二酸化チタン薄膜の作製方法としてスパッタリング装置にて高温 (数百℃程度) による結晶化促進という手法をとっているが、ビルなどに使われる大面積ガラスの場合にはスパッタリング装置内における熱割れ現象 (コップに熱湯を注ぐと割れるという現象と類似) のため破壊されやすく極めて困難であった。
  3. この問題を解決するためには「無加熱で結晶化し、光触媒活性の高い二酸化チタン薄膜を形成する」という技術の開発が必要であった。
  4. 今回新たに開発した技術により、ガラス等を加熱せず、また成膜後の熱処理やプラズマ処理も一切必要とせず、極めて光触媒活性が高い結晶構造を持つ二酸化チタン薄膜を形成することに成功した。
  5. 今回の成果を活用することにより、セルフクリーニング機能を持つ大型窓ガラスなどの実用化が可能になった。また開発した新技術は無加熱であるため、プラスチック等の材料に対しても光触媒作用を付与することが可能になるなど、様々な発展が期待され、今後実用化を目指して連携企業の募集を始める。
  6. 今回開発した技術は現在特許出願中である。

「PET樹脂フィルム上に無加熱で作製した光触媒二酸化チタン薄膜、曲げても全く支障はなく、摩擦によっても極めて剥離しにくい。」の画像

PET樹脂フィルム上に無加熱で作製した光触媒二酸化チタン薄膜、曲げても全く支障はなく、摩擦によっても極めて剥離しにくい。



お問い合わせ先

研究内容に関すること

物質研究所 プラズマプロセスグループ
主幹研究員
亀井 雅之 (かめい まさゆき)
TEL : 029-860-4380
FAX : 029-860-4701
E-Mail: KAMEI.Masayuki=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

報道担当

独立行政法人物質・材料研究機構 
広報室
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FAX:029-859-2017

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