構造材料研究拠点第2回シンポジウムを開催

「構造材料研究拠点が中長期的に取り組むべき課題や目指すべき姿を論じる」

2015.11.09


2015年11月9日(月)に、物質・材料研究機構千現地区第一会議室において、「構造材料研究拠点が中長期的に取り組むべき課題や目指すべき姿を論じる」と題して、第2回のシンポジウムを開催しました。本シンポジウムでは、本年3月に開催した第1回シンポジウムにおいて、国土強靭化や産業競争力強化の観点に立った中長期的かつ持続的な構造材料研究および技術に関連する、外部有識者からの拠点への期待と要望に応えるため、拠点の目指すべき姿や推進すべき課題の方向性を、内外の関係者と検討を重ねてきた結果を取りまとめて報告するとともに、拠点活動について議論を行いました。

「シンポジウム全景」の画像

シンポジウム全景



シンポジウムには、総勢174名 (外部から42機関) の参加者、そのうち拠点関係者として107名 (職員62+TOPAS22+関係機関23) が集まり、室町理事が開会の挨拶を兼ねて開催趣旨と機構の次期中期計画に向けた準備状況や、それに対する構造材料研究拠点の位置づけ等を概説した後、土谷浩一副拠点長から「構造材料研究拠点の目指すもの」と題して国内外の構造材料研究動向を踏まえた上での拠点の目指すべき姿を表明しました。次に渡邊誠ユニット長からは、「中長期的視点に立った2050ビジョン」と題し第1回シンポジウムで講演頂いた企業からのニーズや社会的背景を踏まえ、拠点が中長期的に推進すべき課題や領域についてこれまで検討してきた結果を取りまとめ、報告致しました。それらに対して、特別講演として五十嵐正晃新日鐵住金 (株) フェローより、「産業界の立場から感じる構造材料研究拠点への期待」と題し、鉄鋼業を中心とした製造業の動向、およびそれらを踏まえた機構および拠点の立ち位置や研究活動に対する期待に関する総合的なご講演を頂きました。

続いて、御手洗容子副拠点長から「拠点として重点化すべき基礎基盤研究について」と題し、これまで拠点で行ってきた議論を踏まえ、今後、推進すべき基礎基盤研究について紹介致しました。以上の内容に対して、招待講演として三島良直東京工業大学学長より、「我が国の材料分野の現状と拠点型研究への期待」と題し、総合科学技術イノベーション会議に置いて議論が進められている第5期科学技術基本計画の動向や、文部科学省内で議論が行われているナノテク・材料分野の現状および今後の見通しについてご紹介頂くとともに、拠点活動に対する期待を頂きました。

「NIMS 室町英治 理事」の画像

NIMS 室町英治 理事


「新日鐵住金 (株)  五十嵐正晃 フェロー」の画像

新日鐵住金 (株) 五十嵐正晃 フェロー


「東京工業大学 三島良直 学長」の画像

東京工業大学 三島良直 学長


「NIMS 岸 輝雄 顧問」の画像

NIMS 岸 輝雄 顧問



最後の全体討議では、今回の招待講演者に加え第1回シンポジウムで御講演いただいた関連企業の方々および当機構の岸輝雄顧問から、今回紹介した拠点の目指すべき姿等に対して、以下の忌憚ない御意見や期待を頂きました。
 
・国研の意義が時代と共に変化している。産との役割分担を明確にした上でより一層共生すべきである。
・ここで社会実装や実用化は民間が責任を持つので、国研には基礎・基盤で力を発揮して欲しい。
・国研に期待する課題は、既存材料の損傷機構や予寿命予測などじっくりと腰を落ち着けて取り組むべき領域だ。
・さらには、接合や接着を含めた既存材料の最適組み合わせの方向性を提示して欲しい。
・拠点が産学官のプラットフォームとして、具体的な国家プロジェクトを提案すべきである。
・生産性向上など現場の問題を産学官で共有し、議論できる場を作って欲しい。
・さらには未来を展望するため、拠点がハブとして産学官一人一人の能力を高める場ともなって欲しい。
・なぜならばイノベーションに一番大事な要素は、個人研究にこそあるからだ。
・我が国の若者の目が輝く場を、大学と国研が一緒になって実施例としてまず作ろう。
 
以上を持って第2回のシンポジウムを一端、休会し、その後は3月に竣工した先進構造材料研究棟を一般公開して参加された皆様に見学頂きました。会場を埋め尽くした多くの参加者は皆様、最後まで熱心に聞き入っておられるとともに、新しい研究棟およびそこに導入された設備群のみならず拠点関係研究者によるシーズ研究説明も御覧頂き、改めて拠点に対する関心の高さが示されました。

「先進構造材料研究棟 一般公開」の画像

先進構造材料研究棟 一般公開


「見学後 交流会風景」の画像

見学後 交流会風景