何がわかるのか?
〜 腐食速度 〜
種々の環境での鉄の腐食速度とACMセンサ出力の日平均電気量(Q)との関係を図1
に示す。QCM*の適用を必要とするような穏和な環境から、西原(沖縄県)の様な
厳しい環境まで、腐食速度と日平均電気量(Q)との関係はほぼ1本の直線に乗る。
このことは、海塩付着量や湿度条件などの環境条件によらず、Qから腐食速度を推定
できることを示す。
ACMセンサ表面に種々の量の「海塩」を乗せ、所定の湿度環境に置いたとすると、
図2のI-RH関係で求められるセンサ出力が検出されるはずである。これを日平均電気
量(Q)に換算し、海塩相当付着量(Ws)との関係として 図2に示す。また、図中右縦軸
に目盛ったのは、図1から求めた、左縦軸のQに対応する鉄の腐食速度である。
RHとWs の大まかな値がわかれば、図13よりQおよび鉄の腐食速度が推定できる。
実際の環境ではRHが変動するが、長期にわたる腐食量は図2から得られる腐食速度の
累積であるから、湿度分布の実測データから推定できる。
* QCM:水晶微量天秤法(Quartz Crystal Microbalance)
水晶振動子の共振周波数が、振動子表面での重量変化に伴って変化する
ことを利用した、微量な重量変化測定法で、〜ng/cm2オーダーの重量変
化が検出可能である。
図1 種々の環境での腐食速度とACMセンサ出力の日平均電気量(Q)
との関係
図2 種々の湿度条件下での日平均電気量(Q)と
海塩相当付着量(Ws)との関係