4. ミクロ組織を変化させた場合の機械的性質の変化

本研究テーマでは,不純物を含んだ超微細鋼を自動車鋼板として使用することを目標とし,自動車用鋼に必要な高速変形挙動について明らかにすることを目的とする.変形挙動については,材料の機械的特性を表す応力-ひずみ曲線に注目し,低速から高ひずみ速度域までを視野に入れ検討を行う.

平成12年度の成果

過去の研究報告の整理を行い,変形応力におよぼす粒径,温度,ひずみ速度の影響についての基本的知見を得た.

平成13年度:

化学組成の同じSM490相当鋼(0.15C-0.4Si-1.5Mn)よりフェライト粒径の異なる3種類の
フェライト-パーライト鋼(3.6, 9.8, 46.2 mm)を作製し,温度とひずみ速度を変え
引張試験を行った.

これらの結果を整理した結果,
微細化,温度低下により強度は増大し,伸びはほとんど変化しないことが
明らかとなった.




図 3種類のフェライト-パーライト鋼の77, 296 Kにおける応力-ひずみ曲線

一般に,温度低下とひずみ速度上昇は等価と言われている.そうであれば,
77 Kにおいて得られた結果と同様のことが高速変形時についても期待できる.