全方向のきずを検出する漏洩磁束探傷試験 構造体化研究グループ 主任研究員 植竹一蔵 キーワード:非破壊試験、漏洩磁束探傷試験、表面きず、材質改善 鋼板の製造過程における非破壊試験の役割は、探傷試験情報のフィードバックによる材質改善の援助、また、フィードフォワードによる品質の評価である。いずれの場合もきずの検出が課題であり、高性能な検出法の開発が望まれている。 不純物を含んだ原材料による鋼板の製造過程においては、不純物に起因するきずの発生が懸念される。材料中のきずは材料の強度に影響し、特に表面きずによる影響が大きい。 きずからの漏洩磁束は、きずの長手方向と磁化方向とが直交するときに最もよく発生し、平行になるとほとんど発生しない。MFLT法によってきずを良好に検出するためには、きずの長手方向と磁化方向とが直交する状況で探傷するのが最も好ましい。しかし材料表面のきずは、どの方向性を持って発生するかが予測できない。 したがって、材料表面に発生するすべての方向のきずを見落としなく検出するには、磁化ときずの方向性の影響を除去することが必要となる。 本研究では、材料の磁化に回転磁界を適用することにより、きずと磁化方向に起因する影響を除去することを提案し、良好な結果を得ている。 参考文献 植竹一蔵、長井 寿:漏洩磁束探傷試験における回転磁界の適用、平成13年度日本非破壊検査協会秋季大会講演概要集、p111(2001) |