第1回ワークショップ報告

超鉄鋼研究センター 冶金グループ 花村年裕

去る平成14年12月16日に第1回「自動車および家電に関するリサイクル材料技術」ワークショップが物質・材料研究機構・千現地区・本館第一会議室で開催されました。

この中で、香川大・国重和俊教授による「リサイクルと自動車用鋼板の材料特性」、名古屋大・石川孝司教授による「自動車部品の鍛造技術と組織制御」、物質・材料研究機構・超鉄鋼研究センターからのプロジェクト「リサイクル材の超鉄鋼化」研究説明が報告され、活発な議論がなされました。

「リサイクルと自動車用鋼板の材料特性」については、Pが入ると、シャルピー衝撃試験においてセパレーションが増えるとのデータが示され、それがPの偏析によるためか、集合組織の発達によるためか、どちらと考えられるかという議論がなされました。

また、フェライトからCが排出されて、粒界に溜まり、サイトコンペティションは成り立つのかどうかという議論もなされました。

「自動車部品の鍛造技術と組織制御」では、表面処理を含めた鍛造加工材材質予測の将来展開について、また、1μm粒鋼を得るためには700〜500℃の温度範囲で歪を2以上加える必要があるが、こういった技術は将来的に可能かどうかという点について、議論がなされました。

ミレニアムプロジェクトの研究説明については、棒鋼の表面処理で期待される効果、P、S、Cu、Snの添加量が0.1%という根拠、メカニカルアロイによる結晶粒微細化と超鉄鋼における結晶粒微細化との関係等についての多くの質問・意見が出され、プロジェクトを今後発展させるに当たっての有益な考え方が得られました。最後に、長井超鉄鋼研究センター長より、本プロジェクトは鉄鋼協会や超微細粒鋼の国際会議でオールジャパンの体制で取り組んでいくという姿勢が示されました。