中・高炭素化による高強度超微細粒鋼の創製

超鉄鋼研究センター　冶金グループ　島倉俊輔

ミレニアムプロジェクトSR−TFでは、自動車部品を想定し、不純物の無害化・有効利用による高性能リサイクル鉄棒材の創製を行っている。

研究の中心は、フェライト粒径1μm以下の超微細粒鋼を基本として、引張強度が800〜1200MPa、靭性の指標としてDBTTが250K以下、疲労強度がσw≧0.5σBの棒材創製である。

本研究は特に高強度・高疲労強度化の部分を担っており、現状の引張強度が800MPaの超微細粒鋼に対し、C（炭素）量を上げることにより目標とする強度の実現を目指している｡

本年度はC量を段階的に変化させた超微細粒鋼を試作し、引張試験と高サイクル疲労試験を実施中である。

現在までに得られたデータから、C量を増やし組織を超微細化させることにより、引張強度≧1000MPa、疲労強度≧500MPa(0.5σB)程度を実現できる見通しが得られている。

今後は更に低サイクル疲労試験やSEM,TEM等を利用した組織解析を行い、C量と引張強度、疲労強度の関係について、詳細に調査していく。

なお、本研究の成果はH15年の春もしくは秋の鉄鋼協会講演大会で公表することを目指している。