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ホルムアルデヒドの発生を繰り返し検知できる小型センサーを開発

~シックハウス症候群予防に向けたホルムアルデヒド常時監視システムの実現に期待~

2017.10.23
(2018.01.26 更新)

NIMSはAISTと共同で、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドを継続的にモニタリングできる小型センサーを開発しました。

NIMSはAISTと共同で、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドを継続的にモニタリングできる小型センサーを開発しました。従来は、測定ごとに検知タグの交換が必要でしたが、ホルムアルデヒドに曝されると導電性が変化し、清浄な空気で導電性が元に戻るセンサー材料を開発することで継続的なモニタリングが実現しました。スマートフォンなどと組み合わせることで、ホルムアルデヒドガスの発生を常時検知するシステムの実現が期待されます。

建材の防腐剤などに用いられるホルムアルデヒドは、健康被害 (シックハウス症候群) を引き起こすことが問題となっており、また発がん性も疑われています。そのため、世界保健機関では、室内のホルムアルデヒド濃度を0.08 ppm 以下に維持管理するよう推奨しています (注 : 1 ppm は百万分の1の濃度を表す) 。しかし、ホルムアルデヒドを検知するには、高価で大型な装置が必要であったり、小型の装置では測定毎に検出タグの交換が必要であったり、継続的にモニタリングするには課題がありました。

本研究グループは、ナノ材料の一つであるカーボンナノチューブを使って、ホルムアルデヒドを繰り返し検知できるセンサー材料を開発しました。半導体の性質をもったカーボンナノチューブは酸性ガスに応答して導電性が上昇します。ホルムアルデヒド自体は中性ですが、ホルムアルデヒドと反応するとごく微量の酸性ガスを発生する物質を組み合わせることで、カーボンナノチューブの導電性が変化してホルムアルデヒドを検出することができます。導電性の変化を抵抗計で測定した場合、ホルムアルデヒドの検出限界は、0.016 ppmと極めて高感度で、しかも清浄な空気によって酸性ガスを除くことでセンサーは繰り返し使用することができました。

このセンサー材料と、2つのLEDを組み合わせて、ホルムアルデヒドの発生を常時監視する小型装置を試作しました。片方のLEDのみセンサー材料につながっており、センサーがホルムアルデヒドに曝されると導電性が上がるため、片方のLEDのみ輝度が増加します。2つのLEDの輝度を比べることで、0.9ppmのホルムアルデヒド濃度を検知することができました。

今回開発したセンサー材料は、スマートフォンなどの汎用電子機器へ容易に組み込むことができるため、センサーと情報通信技術を融合することで、ホルムアルデヒドガスの発生を遠隔からリアルタイムで検知するなど安全・安心な社会の構築に貢献できるものと期待されます。

本研究は、NIMS 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 フロンティア分子グループの石原伸輔 主任研究員らと、AIST ナノ材料研究部門との共同で行われました。本研究成果は、現地時間2017年10月16日に米国化学会の学術誌「ACS Sensors」のオンライン版で公開されます 。



簡易センサーによるホルムアルデヒド検知




本件に関するお問い合わせ

(研究内容に関すること)

国立研究開発法人物質・材料研究機構
ナノアーキテクトニクス材料研究センター(MANA)

フロンティア分子グループ
主任研究員

石原 伸輔 (いしはら しんすけ)

Tel:029-860-4602

E-Mail:ISHIHARA.Shinsuke=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

(報道・広報に関すること)

国立研究開発法人 物質・材料研究機構
経営企画部門 広報室

〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1

Tel: 029-859-2026

Fax: 029-859-2017

E-Mail: pressrelease@ml.nims.go.jp
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