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しなやかなナノカーの操作手法開発

~これまで難しかった「柔らかい車体分子」の構造と動きの精密制御に成功~

分子の車による国際レース「ナノカーレース」に日本代表として参加したNIMSチームらは、レースへの参加を通じて、これまで難しかった形の変わりやすい「柔らかい分子」の変形や動きを精密に制御することに成功しました。

分子の車による国際レース「ナノカーレース」に日本代表として参加したNIMSチーム (チームリーダー 中西和嘉 主任研究員) らは、レースへの参加を通じて、これまで難しかった形の変わりやすい「柔らかい分子」の変形や動きを精密に制御することに成功しました。柔らかい分子を分子マシンとして活用できる技術として期待されます。

2016年ノーベル化学賞の受賞テーマとなった「分子マシン」は、外部からエネルギーを与えて、ナノスケールで動きを制御できる分子として、材料や医療への応用が期待されています。分子マシンとなる分子の候補には、エネルギーを与えても形が変わらない分子と、形が変わる「柔らかい分子」があります。極小の分子の世界で形と動きを同時に制御することは困難なため、これまでは形の変わらない分子を使って動きを制御する研究が行われてきました。しかし、もし形の変わりやすい柔らかい分子の構造と動きを正確に制御することできれば、分子マシンの設計の幅を広げることができます。そこで研究チームは、分子マシンの制御技術向上を目指して今年4月に開催された「ナノカーレース」に出場するにあたり、出場チームで唯一、柔らかい分子をナノカーとして使用することに挑戦しました。

日本チームがナノカーとして用いたのは、溶液中では折りたたまれた状態と開いた状態が常に変化する柔らかい分子です。金属表面に置かれたナノカーに電気的なエネルギーを与える際に、下図の①の位置に正確にエネルギーを与えると、ナノカーを折り曲げるように変形でき、②の位置にエネルギーを与えると、一定方向に0.29 nm (ナノメートル) ずつ分子を進めることに成功しました。この成果は、柔らかい分子でも適切な位置にエネルギーを与えることで、構造と運動を精密に制御できる可能性を示しています。

今後、この技術を発展させ、柔らかい分子も分子マシンの設計に使用することで、様々な機能を持つ分子マシンを実現できると期待されます。現在、分子マシンの制御技術のさらなる発展を目指し、第2回ナノカーレースの開催について、研究者の議論が始まっています。

本研究は、国立研究開発法人物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の中西和嘉 主任研究員、ナノ材料科学環境拠点の白井康裕 主任研究員、国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の有賀克彦 グループリーダーおよびフランス国立科学研究センターのウィヒョ・ソウ主任研究員、クリスチャン・ヨアヒム グループリーダーらとの共同研究です。本研究成果は、国際学術雑誌「ACS Nano」のオンライン電子版にて平成29年10月9日 (現地時間) に正式掲載されました。






本件に関するお問い合わせ

(研究内容に関すること)

国立研究開発法人物質・材料研究機構
ナノアーキテクトニクス材料研究センター(MANA)

超分子グループ
主任研究員

中西 和嘉 (なかにし わか)

Tel:029-860-4892

E-Mail:NAKANISHI.Waka=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

» 超分子グループ HP

国立研究開発法人物質・材料研究機構
ナノアーキテクトニクス材料研究センター(MANA)

超分子グループ
グループリーダー

有賀 克彦 (ありが かつひこ)

Tel:029-860-4597

E-Mail:ARIGA.Katsuhiko=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

(報道・広報に関すること)

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経営企画部門 広報室

〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1

Tel: 029-859-2026

Fax: 029-859-2017

E-Mail: pressrelease@ml.nims.go.jp
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