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磁気でイオンを輸送する新原理のトランジスタを開発

~電圧をかけずに動作する電気化学デバイス実現へ前進~

NIMSは、電圧でなく磁気でイオンを輸送するという、従来と全く異なる原理で動作するトランジスタの開発に成功しました。

NIMSは、電圧でなく磁気でイオンを輸送するという、従来と全く異なる原理で動作するトランジスタの開発に成功しました (図1) 。動作させるのに電圧を印加する必要がないため、省エネルギーで新しい機能を持った情報通信デバイスなどの開発につながると期待されます。

電気エネルギーと化学エネルギーを変換する電気化学デバイスは、電池やキャパシタ、センサーなどとして実用化され、我々の生活の中で幅広く利用されています。これらのデバイスは、電解質中のイオンを移動させることで動作しますが、イオンの駆動には電圧を印加する必要があるため、電力源が確保できない環境では利用しづらいという問題があります。

そこでNIMSの研究グループは、磁性イオン液体 (1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロフェラート) に注目しました。磁性イオン液体は、これまで“液体の磁石”として研究されていましたが、電荷を持ったイオンとしての性質は注目されていませんでした。研究グループは、磁性イオン液体を、磁石をつかってイオン輸送が可能な液体としてとらえ、これを電解質として用いた電気二重層トランジスタを作製しました (図1) 。磁場をかけると、電解質中の磁性イオンが移動して、電極間の抵抗が変化することが分かり、磁場のみでトランジスタとして動作させることに成功しました。

今回、電磁石を用いて磁場をかけましたが、これを永久磁石に置きかえることができれば、省エネルギー情報通信デバイスなどへの展開が期待できます。今後、本成果を基に情報通信デバイスへの応用を進めるとともに、電池やキャパシタなどトランジスタ以外の電気化学デバイスについても、外部電源に依存しない制御を目指した研究を進める予定です。

本研究は、国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の土屋敬志主任研究員、寺部一弥グループリーダー、機能性材料研究拠点の井村将隆主任研究員、技術開発・共用部門の小出康夫部門長によって行われました。

本研究成果は、Nature Publishing Groupが発行するScientific Reports誌のオンライン版にて2017年9月5日 (日本時間) に掲載されます。


プレスリリース中の図1 : 外部磁場を印加して、電解質内の磁性イオン (塩化鉄イオン) を輸送させることによってダイヤモンドの電気抵抗を制御する。




本件に関するお問い合わせ

(研究内容に関すること)

国立研究開発法人物質・材料研究機構
ナノアーキテクトニクス材料研究センター(MANA)

ナノシステム分野
ナノイオニクスデバイスグループ
グループリーダー

寺部 一弥 (てらべ かずや)

Tel:029-860-4383

E-Mail:TERABE.Kazuya=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

国立研究開発法人物質・材料研究機構
ナノアーキテクトニクス材料研究センター(MANA)

ナノシステム分野
ナノイオニクスデバイスグループ
主任研究員

土屋 敬志 (つちや たかし)

Tel:029-860-4563

E-Mail:TSUCHIYA.Takashi=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

(報道・広報に関すること)

国立研究開発法人 物質・材料研究機構
経営企画部門 広報室

〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1

Tel:029-859-2026

Fax:029-859-2017

E-Mail:pressrelease@ml.nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)


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