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無数の穴を有する新ロジウム触媒

~空間・空隙を精密に設計する技術,希少金属の有効活用にむけて~

2017.05.17
(2017.05.19 更新)

NIMSの研究グループは、国内外の研究機関との国際共同研究において、高分子を鋳型として活用することで、均一で規則的なナノ空間を持つロジウムナノ多孔体 (メソポーラスロジウム) の開発に成功しました。

国立研究開発法人物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 (MANA) メソスケール物質化学グループ主任研究員 Joel HENZIE、早稲田大学大学院先進理工学研究科ナノ理工学専攻 Bo JIANG、MANAメソスケール物質化学グループ 山内悠輔グループリーダー (早稲田大学・客員教授、オーストラリアWollongong大学・教授) らは、国内外の研究機関との国際共同研究において、高分子を鋳型として活用することで、均一で規則的なナノ空間を持つロジウムナノ多孔体 (メソポーラスロジウム) の開発に成功しました。

内部に直径数ナノメートルの細孔状の空間が配列し、体積に比べて大きな表面積を有するナノ多孔体は、これまでにない新たな化学反応の場をもつ材料として期待され、触媒材料及び吸着材料等へ向けた研究・開発が活発に行われてきました。現在まで、有機金属錯体 (又は、多孔性配位高分子) 、メソポーラスシリカ、ゼオライトなど様々な多孔体が報告されています。特に、金属骨格を有するナノ多孔体は今までにない応用展開が期待できると考えられています。

他の金属と比較してもロジウムは、顕著な一酸化窒素 (NO) 還元活性を有するため自動車排ガス浄化用触媒として用いられており、産業上重要な元素であることが知られています。しかし、ロジウムは希少で高価なため、いかに少量のロジウムで最大限の効果を引き出せるかが研究の焦点になってきています。

本研究では、疎水性と親水性の性質をあわせ持つ高分子 (両親媒性ブロックコポリマー) の希薄溶液中で濃度を調整することで、均一なサイズの球状ミセル (分子集合体) を形成させました。これらを鋳型として用いて、
精密な条件下でロジウムイオンを化学還元させた結果、ミセルのサイズに応じたナノ細孔を有するロジウム粒子の形成に成功しました。

市販のロジウム触媒と比較しても、メソポーラスロジウムは抜群のNO還元活性を有し、またメタノール酸化反応などにおいても高い電極触媒活性を示しました。このように、金属にナノ空間を形成し、活性を向上させるという指針は、これまでの触媒設計の概念にはなく、今後あらゆる方面で注目されると期待しています。

本研究は、 (独) 科学技術振興機構 国際科学技術協力基盤整備事業「バイオエレクトロニクスおよびバイオフォトニクス」分野のプロジェクト、科研費若手研究A (研究課題26708028) 一部として行われ、英国科学雑誌「Nature Communications」 オンライン版(DOI: 10.1038/ncomms15581) で日本時間平成29年5月19日18時(現地時間 平成29年5月19日10時) に公開されます。


プレスリリースの図: メソポーラスロジウムの合成プロセス




本件に関するお問い合わせ

(研究一般の内容に関すること)

国立研究開発法人物質・材料研究機構
ナノアーキテクトニクス材料研究センター(MANA)

MANA主任研究者(PI)
メソスケール物質化学グループ
グループリーダー

山内悠輔 (やまうち ゆうすけ)

E-Mail:YAMAUCHI.Yusuke=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

(報道・広報に関すること)

国立研究開発法人 物質・材料研究機構
経営企画部門 広報室

〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1

Tel:029-859-2026

Fax:029-859-2017

E-Mail:pressrelease@ml.nims.go.jp
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