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水中の希薄な水銀イオンを高感度で検出する方法を開発

湖沼環境を汚染する水銀の高精度モニタリングと早期発見が可能に

ホアン・ヴ・チュン博士研究員、長尾 忠昭グループリーダー、青野 正和拠点長らの研究グループは、赤外光を用いて河川や湖沼などに微量に溶解した有害物質である水銀イオンを、可視光を用いる従来の分光法よりも10倍以上高い感度で検出できることを見いだした。

本グループは、ナノスケールの隙間を持つ金ナノ構造に、水銀イオンを選択的に吸着できるような表面コーティング(DNAアプタマー)を施し、水中から水銀イオンを高感度、かつ、選択的に検出できる方法を開発した。金のナノスケール間隙に発生するプラズモンを用いることで、不要な水のスペクトルを低減した。またナノスケール間隙内のプラズモンの増強電場により感度を増強することで、市販のフーリェ変換赤外吸収分光器を用いて水銀イオンの検出限界を40 ppt(一兆分の1)程度にまで低減できることを見いだした。これは日本の環境基準の十分の一以下の値である。

今後は、簡便で、精密な水環境モニタリングへの展開が期待される。また、本計測法を発展させることで、水銀以外の環境汚染や産業排水の水質モニタリングなどにも貢献することが期待できる。

図1 霞ヶ浦の水を採取し、微量の水銀イオンを加えたものをサンプルとした。金によるナノスケールの隙間を持つ下地をシリコン表面上に製作し、これに、水銀を選択的に補足する表面コーティング材料(DNAアプタマー)を塗布したものをセンサー部位とした。表面コーティング材料が水銀イオンを補足すると、赤外スペクトルのうち特定の振動数部分が変化し、水銀が検出される。




記事・報道

■新聞
日本経済新聞(2013年2月7日38面)
日刊工業新聞(2013年2月7日21面)
日経産業新聞(2013年2月7日11面)
化学工業日報(2013年2月7日10面)


本件に関するお問い合わせ

国立研究開発法人物質・材料研究機構
ナノアーキテクトニクス材料研究センター(MANA)

ナノシステム構築ユニット グループリーダー

長尾 忠昭

Tel:029-860-4746

Fax:029-860-4958

E-Mail:NAGAO.Tadaaki=nims.go.jp
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