1. ホーム
  2. > ニュース
  3. > ディスプレイの制御に必要な金属酸化膜トランジスタの開発に成功…

プレスリリースプレスリリース

ディスプレイの制御に必要な金属酸化膜トランジスタの開発に成功

スマートフォンの電池持続向上やテレビの高精細化を可能にする次世代デバイス

塚越 一仁 ( 物質・材料研究機構(NIMS) 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 (MANA) )
生田目 俊秀 ( 物質・材料研究機構(NIMS) 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 (MANA) )
柳沢 佳一 ( 独立行政法人理化学研究所ナノサイエンス研究施設 )

国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の塚越 一仁 主任研究者、生田目 俊秀 統括マネジャーらは、独立行政法人理化学研究所ナノサイエンス研究施設 柳沢 佳一テクニカルスタッフと共同で、従来にない原子材料構成による金属酸化膜トランジスタの開発に成功した。

今回、研究グループは酸化インジウムに、酸化タングステンを極微量添加するだけで、薄膜トランジスタとして動作するIWO薄膜を開発した。開発した材料は、アモルファス状態で制御が難しい元素であるガリウムや亜鉛を含まない。また、この新材料は、基板加熱などなしに低エネルギーでスパッタ成膜するだけで、均質なアモルファス膜を作ることができることから薄膜化が容易であり、従来よりも薄い膜厚10nmで保護膜なしの構造であっても、高い特性を有するトランジスタとして動作する。このため、原料単価の高いガリウムを省けるだけでなく、薄膜原料量も減らせることから材料コストを低減する効果もあり、製造効率も向上する。

本成果は、爆発的に普及が進んでいるスマートフォンでのバッテリーの大きな消費源であるディスプレイの低消費電力化に有効なだけでなく、テレビの高精細化のための周波数向上に有効な技術として期待される。

これらの成果は、住友金属鉱山(株) 材料事業本部の協力を得て行った研究によって得られた。

図1 試作素子の光学顕微鏡写真と模式図 
室温基板に対して、DCスパッタでIWOターゲットから薄膜をSiO2/Si基板上に成膜し、電極を形成したのちに100℃にて熱アニールを行った。基板上の電極をソース・ドレイン電極とし、基板をゲート電極として特性を計測。




記事・報道

■新聞
科学新聞(2012年11月2日4面)
日経産業新聞(2012年11月7日7面)
鉄鋼新聞(2012年10月22日7面)
化学工業新聞(2012年10月18日8面)
日刊工業新聞(2012年10月18日24面)


ニュース