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特集
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― 量子ビームセンター ―

「ナノ物質・材料の創製・計測の
ための量子ビーム基盤技術」
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量子ビームセンター
センター長
岸本 直樹

 ナノテクノロジー、環境・エネルギー等の社会の諸要請に応えるには、革新的な機能(超高速・超高密度の量子機能、非線形光学特性、誘電特性、光電変換性等)を持つナノ物質・材料の研究開発が不可欠です。
 量子ビームセンターでは、物質・材料創製、造形、制御、計測解析の飛躍的向上のために、特に有力な量子ビーム、すなわち、高輝度放射光、中性子ビーム、イオンビーム・原子線等の先端的なビーム技術を総合的に開発・利用します。図に示すように、当機構独自の材料創製・計測等の研究開発基盤を活用することにより、物質・材料のための量子ビーム基盤技術の確立を目指しています。まず、放射光解析グループは、(1)KEK-PF (放射光科学研究施設)、SPring-8 (大型放射光施設)等の高輝度放射光によるナノ物質の先端的解析、特に「埋もれた」界面等のナノ構造を高分解能かつリアルタイムで解析できる高度な反射率法、あるいはSPring-8のNIMS専用ビームラインによる精密構造解析や光電子分光法の研究開発を行います。次に中性子散乱グループは、(2)中性子・X線散乱の解析ソフトウェアの開発、及びX線源によるラボレベルの小角散乱をはじめ、中性子源JRR-3M (研究用原子炉・改造3号炉)、J-PARC (大強度陽子加速器計画)を用いた小角散乱技術によるマルチスケール解析技術の開発と、それを用いた磁性ナノ粒子材料、超伝導材料等の創製を行います。また、イオンビームグループは、(3)EPF (極限粒子場形成装置)を用いたイオン・レーザー複合照射法、およびイオン投影法によりナノ量子材料の創製を行い、さらに原子ビームグループは、(4)原子線リソグラフィ等によりナノパターンニング技術を研究開発します。これら量子ビーム技術を総合的に用いることにより、ナノ物質・材料の創製に大きく貢献する基盤技術を開発することを目指しています。

図
図    ナノ物質・材料の創製・計測のための量子ビーム基盤技術の開発と利用.


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