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1 はじめに ナノ計測センター先端電子顕微鏡グループは、電子顕微鏡の第一線の専門家集団です。2台の「超高圧電子顕微鏡」を始めとする先端的な電子顕微鏡を開発し、先端ナノ材料の「動的その場観察」や「超高分解能構造解析」等で多くの成果を挙げてきました。ここでは最近の2つの開発事例として「高分解能STEM」及び「ナノ磁気構造解析システム」を紹介します。 2 高分解能STEMの開発と応用 当グループでは、原子像観察の新しい手法として注目される走査透過型電顕(STEM)の開発を精力的に行い、2台の先端的装置を開発しました。一つは超高真空・収差補正STEMです。従来磁界型レンズでは、凹レンズが出来ないため収差の補正は不可能と考えられてきましたが、当グループではこの先端技術をいち早く取り入れた、収差補正STEM(図1)を開発し、1Å分解能を達成しました。もう1台は冷陰極電界放出型電子銃(Cold-FEG)を備えた高輝度・高エネルギー分解型STEMです。本装置で撮影された窒化珪素(Si3N4)の原子像(ADF)を図2に示します。個々のシリコン原子が白い点として明瞭に観察されています。 3 ナノ磁気構造解析システムの開発と応用 酸化物超伝導体に代表される「強相関電子系」物質では、極低温でのミクロな磁気構造(磁区)をナノレベル観察することが極めて重要な課題になっていますが、従来の電子顕微鏡では対応困難でした。そこで当グループでは、ナノ磁気構造観察用に特別に設計された2台の装置、「ホログラフィー電顕」及び「ローレンツ電顕」の開発を行ってきました。前者は磁化分布の定量的な解析に、後者は磁区や磁壁のナノレベルでの動的観察に有効です。次世代の磁性材料として期待されるマンガン酸化物の、ローレンツ電顕による極低温での磁区構造観察例を表紙写真下(浅香透JSPS特別研究員提供)に示しますが、磁壁が白と黒交互の線として明瞭に捉えられています。 4 終わりに 当グループでは、更に進んだ収差補正技術や、新しいX線分光法等の最新技術を導入した、世界最高レベルの原子識別性を有する電子顕微鏡の実現を目指して、研究を推進します。 |
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