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特集 新規20プロジェクトの紹介と最近の成果
― ナノシステム機能センター ―

ナノスケール機能構造の
創製とその集積化に向けて
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ナノシステム機能センター
ナノ機能集積グループ
中山 知信
長尾 忠昭 内橋 隆
新ヶ谷 義隆 久保 理 長岡 克己

 ナノ構造の意義はその興味深い物性や機能にあります。私達は、ナノテクノロジーの最重要課題は、必要なナノ機能を選択し組み合わせる技術の確立、すなわち、ナノスケール機能構造の構築とその集積化であると考えて研究の再スタートを切りました。
 表題の目的を達成するために、私達は近接プローブ技術と自己組織化技術を融合して用います。近接プローブ技術を用いれば、原子・分子を一個ずつ操作することができ、これは究極の構造構築技術といえますが、以前から指摘されてきたように、構造構築のスループットが非常に悪いという難点があります。しかし、この方法は、究極的な構造制御が任意の局所において行える点で、他の方法をもっては代え難い特長をもっています。そこで、私達は、これまでに開発してきた走査型マルチプローブ顕微鏡(MPSPM)を飛躍的に発展させ、超並列マルチプローブ法へ革新し、スループットを著しく改善するだけでなく、ナノ構造の集積化も可能な方法を開発しています。
 一方、自己組織化現象を利用すると、非常に効率よくナノ機能構造やその複雑なネットワークを構築できます。その良い例は、細胞増殖や脳の発達などに見ることができます。自己組織化条件をナノスケール程度の意図した領域で誘起すれば、非常に強力な機能構造構築の手段となります。
 私達は最近、近接プローブによるフラーレン分子間化学結合の制御技術を開発しました。分子間力で凝集しているフラーレン分子薄膜中に、化学結合により接続されたナノスケール分子集団を形成(重合反応)し、さらに分子間化学結合を局所的に消す(脱重合反応)ことができるのです。これは、化学結合の操作を介したナノ加工技術であり、人為的に作り出した環境下での分子集合体の自己組織化誘発技術とも言えるものです。
 このように、私達は、近接プローブ法を革新した超並列マルチプローブ法を開発し、それを用いた高スループットの原子・分子操作および局所化学反応制御を自己組織化法と有機的に融合して、様々なナノ構造の集積による新しいナノ機能の開拓を進めて行きます。

図
図  超並列マルチプローブを用いたナノ機能構造集積化.


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