NIMS NOW


特集 持続可能な社会形成に貢献する
NIMS発ベンチャー

株式会社オキサイドの歩み
− 設立後5年を経て −
株式会社オキサイド
代表取締役社長
(元物質研究所 光学単結晶グループ)
古川 保典

 株式会社オキサイドは、NIMSの研究成果である光学用単結晶材料の開発技術を基盤として2000年10月に設立されました。ミッションは、NIMSで開発した機能性光学酸化物単結晶を通して日本の光技術を発展させ、より豊かな生活環境をもたらすこと、次に来るフォトニクス時代に日本が光技術で世界をリードできるよう、キーマテリアルとなる高い機能を有する光学酸化物単結晶を市場に送り続けることです。
 オキサイドが提供する製品は、従来、高性能でありながら、育成が困難なために入手が出来なかった単結晶材料です。NIMSが開発した新しい製造技術により、初めて高品質で大型な単結晶製造が可能になりました。会社設立後の5年間に、この新しい結晶育成技術を製造技術へと高め、世界に先駆けて定比組成タンタル酸リチウム(SLT)単結晶の製品化に成功し、さらに飛躍的な歩留まり向上を達成しております。製品化に成功しました定比組成ニオブ酸リチウム(SLN)、SLT単結晶は、現在、受注件数の約6割を占める主力製品に成長しています。SLN、SLT結晶は、これまで世の中にない新しい単結晶基板として多種多様の光デバイス用途に受注を受けております。オキサイドは、NIMS発ベンチャー企業として認定を受けていますが、同じくNIMS認定ベンチャー企業である(株)SWING社の販売代理店として本結晶を用いた波長変換素子の市場参入を図ってきました。来期以降、SWING社との事業提携を一層強化し、その他企業の既存事業のM&Aも視野に入れて事業拡大を行います。
 また、さらなる顧客要求に応え、開発体制の充実、製造技術の強化と新製品の安定供給を目指して、2004年10月に山梨県北杜市武川町の工場を購入し、2005年5月に本社工場を全面移転しました。移転後に単結晶育成装置を十数台増設し、既存設備と併せて25台前後として生産能力を6〜7割高めました。
 会社設立後のこの5年間に、機能性酸化物光学単結晶事業で人材、経験、ノウハウを蓄積する努力を重ね、世界のトップを目指すための準備を進め、年間売り上げも3億円を超えるところまで到達いたしました。昨年は、つくばベンチャー・チャレンジ賞も受賞いたしました。国研発で、材料を製造販売する「ものづくりベンチャー」としてここまで成長できたことは機構の研究と連携が確かなものであったことの証明と考えております。
 この強みに磨きをかけ優良企業への飛躍を図るとともに、市場と製品ラインナップのより一層の拡充を目指して、研究開発用途から、最終製品への組み込みが可能となる部品素材、デバイスの生産へと事業展開することを目指しています。
http://www.opt-oxide.com

図  株式会社オキサイド新社屋 山梨県北杜市武川.


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