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特集 持続可能な社会形成を支援する
材料基盤情報ステーション

NIMS物質・材料データベース
ユーザフレンドリーなデータベースの構築
材料基盤情報ステーション
材料データベース研究グループ
山崎 政義

 物質の結晶構造から実用材料のクリープおよび疲労強度特性まで物質・材料に関する11種類のデータベースが2003年4月からインターネットによって発信されています(http://mits.nims.go.jp)。これらのデータベースは、材料開発、材料の最適な使用、最適な材料の選択ばかりでなく、材料の特性予測、材料特性比較、材料の同定(辞書機能)などとして役立てることができます。しかし、それぞれのデータベースの開発の時期や開発担当者が違っていたため、利用者にとって必ずしも使い易いものとはいえませんでした。そのためユーザフレンドリーなシステムにするために改造をいくつか行いました。まず、ユーザ登録システムを統合し、個人情報保護法に対応するためSSL(secure socket layer)を導入して通信のセキュリティを向上させました。これで同じIDとPasswordで11種類のデータベースが利用できるようになりました。現在、74ヶ国の6,800機関から約20,000人(外国5,000人含む)の登録があり、毎月約2,000人が平均すると3〜4回ログインして利用しています。
 ユーザが必要とする材料情報がどのデータベ−スにあるのかを調べるための横断検索システムMatNavi (http://mits.nims.go.jp/matnavi/index_jp.html)を開発しました。8種類のデータベースについてカテゴリとキーワードを用いて材料別または特性別に横断的な検索が可能です。図はカテゴリのPropertyで検索した例です。約215,566点の特性データが収録されていることがわかります。 このMatNaviの検索結果を英国のMaterials Database Network (http://matdata.net/index.jsp)に提供するシステムを開発しました。そしてmatdata.netでは世界中の主要な研究機関の材料データベースと合わせてデータを横断的に同時に検索できます。
 高分子データベース(PoLyInfo)には約15,000種類のポリマーが登録されています。これらのポリマーについてすべての物性が収録されているわけではありません。そこで、ポリマーの構成繰り返し単位(CRU)の化学構造から物性を推算する手法である原子団寄与法による物性推算システムを開発し2005年2月から公開しています。物性の推算結果は既登録のポリマーに関しては、可能な限り文献の実験データと比較できる形で提供しています。現状では5物性10種類の推算ができますが、今後順次他物性も拡張していきます。
 データベースはデータの信頼性が最も重要ですが、使い難いシステムではユーザは利用しません。今後もユーザのご意見を反映させて改良を重ねていきたいと思いますのでご意見をお寄せ下さい。
E-mail:mits@ayamegusa.nims.go.jp

図  横断検索システム MatNaviの検索結果の例.


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