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特集 持続可能な社会形成を支援する
材料基盤情報ステーション

疲労強度を解明する
− 溶接継手の疲労特性 −
材料基盤情報ステーション
疲労研究グループ
山口 弘二

 橋梁、高層建築、道路、船舶などの建造物は、様々な材料を溶接して作られています。そのため、材料そのものの強度に加え、溶接継手の強度や疲労強度を把握しておく必要があります。それは、金属同士を溶接する際に熱を与えるため、冷却中に溶接部に引張の残留応力が生じたり、さらに溶接形状や余盛によって溶接部に応力が集中するために、強度、特に疲労強度が著しく低下するためです。
 疲労データシートでは、これまで様々な施工法で溶接された継手の疲労強度を明らかにしてきました。現在は図1に示すような試験片板厚を変えたリブ十字継手試験片を用いて、系統的な疲労試験を実施しています(表紙写真上)。その結果、図2のような結果が求まり、残留応力と応力集中係数の両方の観点から溶接継手疲労強度の低下を定量的に検討できるデータが整備されてきています。

図1  板厚を変えたリブ十字溶接継手試験片(t:板厚).
図2  溶接構造用圧延鋼(SM490B)の片振り疲労試験(R=0)の結果(t:板厚、W:板幅).


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