NIMS NOW


特集 持続可能な社会形成を支援する
ナノテク支援プロジェクト

産学官のナノテクノロジー
研究開発を戦略的に推進
ナノテクノロジー
総合支援プロジェクトセンター
米倉 実

 ナノテクノロジーは21世紀の世界規模の問題を解決する鍵を握る技術として最も注目されています。文部科学省では、ナノテクノロジーの研究開発を戦略的に進めるため、平成14年度から5カ年の計画で、我が国のナノテクノロジーに関わる産学官すべての研究者を強力に支援する「ナノテクノロジー総合支援プロジェクト」を開始しました(図1)。
 本プロジェクトは、大きくは二つの支援業務から成り立っています。一つは、ナノテクノロジーの研究開発で多くの研究者が必要としながら容易に取り組むことのできない高度な計測技術や極微細加工技術、合成評価技術を、最先端の大型施設等の「共用施設」の利用を通して支援する技術支援です。共用施設には、全国14の研究機関が指定されており、平成16年度末で2000件あまりの支援を実施してきております(図1、図2、図3)。当プロジェクトでは超高圧透過型電子顕微鏡および放射光施設での支援を実施しております。
 本プロジェクトの二つ目の支援業務は、ナノテクノロジーの広い領域の研究に関連する情報を産学官の研究者にあまねく提供するとともに、ナノテクノロジーが分野融合領域としての特徴を有することから、関連する研究者への交流機会の提供や新たな人材育成のための支援を行うことです。これらの業務は、当プロジェクト「ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンター」において運営されています。

図1  ナノテクノロジー総合支援プロジェクト実施体制.

図2  共用施設機関.

図3  平成14から16年度共用施設利用実績.

ナノテク情報を収集・発信
 ナノテクノロジーの発展のためには化学、物理、生物、ライフサイエンス等の異なる分野の知識と技術が必要となります。当センターでは、様々な分野のナノテク先端情報を集めて、ホームページ、メールマガジンで提供し、また、シンポジウムや先端情報交流の場を設けるなど、ナノテクノロジーの発展を側面から強力に支援しております。
 主な業務内容を以下に紹介します。
1) 国内外の調査活動その他を通して、研究動向、最新の研究成果、特許動向等の情報を収集し、その結果をホームページ、メールマガジンや刊行物で提供しています(図4)。
2) 分野を超えた横断的な研究交流の場として、国内および国際ワークショップならびにシンポジウムの主催・開催支援を行っています(表紙写真上)。
3) 国際的なリーダーシップを発揮して持続的な国際協力関係を構築できる人材を育成することが重要です。そのため、若手研究者を日米、日英および日スウェーデン科学技術協力協定に基づき、相手国の先端研究機関に滞在ないしは訪問する「若手研究者国際交流」を実施しています。また、異なる分野の知識を深めてもらうことを目的とした「分野横断スクール」に加え、今年度、人材育成事業における新たな取り組みとして、次世代の研究者を育成する「ナノテクノロジーサマースクール」をスタートしました。
4) ナノテクノロジーについて国民に分かりやすく解説し、理解を得ることも重要です。そのため、アニメやコンピューターグラフィックスによる映像「ナーノの冒険・バイオ編、IT編、環境・エネルギー編」を作成し、北の丸科学技術館等に常設展示するとともに、全国の科学館を巡回して展示しております(図5)。また、各種展示会や国内外の講演会等を通じて総合支援プロジェクトの紹介を行い、支援プロジェクトがより多くの研究者等に活用されるよう普及に努めています。
5) 本プロジェクトのもう一つの柱である大型・特殊研究施設の超高圧透過型電子顕微鏡、極微細加工・造形施設、放射光施設、分子・物質総合合成・解析施設の紹介や利用等に関する各種問い合わせ対応を行っています。
  このような活動を通して、我が国のナノテクノロジーの発展に貢献したいと考えています。

図4 

ホームページWeb site (http://www.nanonet.go.jp) .
総閲覧ページ数; 279,118頁/H17.10月.


図5  「ナーノの冒険」
北の丸科学技術館での展示.


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