NIMS NOW


新年の挨拶

新年おめでとうございます。
理事長
岸 輝雄

 平成13年4月1日にNIMSが設立されてからほぼ5年が経過し、本年3月末で第1期中期計画期間が終了することになります。この第1期の期間に、NIMSは多くの試みを進め、それとともに大きく成長したと考えています。
 独立行政法人化前と比較して、論文数は1.9倍、ISIのMaterials Science分野における論文引用回数は3.4倍(論文1報当たりでは1.8倍)となり、その世界ランキングは独法化前30位から独法化後4位へと上昇しています。特許については出願件数、登録件数ともに2倍程度に増加しました。民間企業等への技術移転も進めていますが、NIMS自らも成果の普及を行うために、これまでにNIMS発ベンチャーを6社立ち上げています。
 総合科学技術会議による独立行政法人の科学技術関係活動のとりまとめ結果においても、いくつかの項目においてNIMSは最上位にランクされています。まだまだ改善すべき点はありますが、第1期としてまずまずのスタートを切ることができたと考えています。
 一方、科学技術を取り巻く環境は年々変化しており、NIMSもその変化に対応していくことが求められています。何を変えるべきか、何を維持するべきかをしっかり把握することが必要です。このような中、NIMSが当面進むべき方向は、ナノテクノロジーを活用した持続社会形成のための物質・材料科学 "Nanotechnology Driven Materials Science for Sustainability" であると考え、本年4月から開始する第2期では、「ナノテクノロジーを活用した新物質・新材料の創成」および「社会ニーズに対応した材料の高度化」を重点領域として20のプロジェクト研究を行う予定にしています。組織についてもプロジェクト研究をしっかり行うことができるシンプルで、フラットな体制にします。
 次のプロジェクトの芽を育てるための萌芽研究も重要です。人、資金などの研究リソースの配分について十分に配慮し、プロジェクト研究と萌芽研究をバランス良く進めていきたいと考えています。
 さらに物質・材料研究に関する中核的機関としての活動も強力に推進していく所存です。国際的取り組み・情報発信の強化、知的基盤の強化、産独・学独の連携強化がその大きな項目であり、第1期にこれらの取り組みをすでに開始しています。世界の物質・材料研究をリードする代表的な研究機関が一堂に会する「世界材料研究所フォーラム」の開催、物質・材料研究の動向をまとめた「物質・材料アウトルック」の発行、産独を中心とする研究者が集まり情報交換・共同研究を行う「材料研究プラットフォーム」の構築などがその具体的施策です。第2期ではこれら以外の新しい施策にも取り組み、中核的機関としての役割を十分に果たしていきたいと考えています。
このように新しい体制で、新しい課題に取り組むにあたっては、研究者はもとより運営側の努力も必要不可欠です。そのため、第1期に設置した運営5室(企画部門)の充実を図る必要があります。新しい課題に対応できる適切なフォーメーションとし、人員の強化も検討する予定です。
非公務員化、運営費交付金の減少など、今後も周囲の環境はめまぐるしく変化するものと思いますが、それらを柔軟に受け入れ、さらに成長を続けることが今NIMSに求められています。研究をenjoyする気持ち、activeにaggressiveに新しいことに挑戦する姿勢を常に持ち、持続力のある新生NIMSを築いていく所存です。
 本年もまた国内外からのご指導、ご支援をお願いするとともに、皆様方のご発展、ご活躍をお祈り申し上げる次第です。


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