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ナノテクノロジーでは原子・分子を操るための技術と同時に、「原子・分子を高精度・高速に観察・分析する技術」が不可欠で、その成否がナノテクノロジーの発展を左右するといって差し支えありません。透過型電子顕微鏡は、分解能が0.1nmの領域に達し、容易に原子・分子を観察できるため、そのナノテクノロジー分野における重要性はますます増大しています。特に高分解能観察画像から得られる原子レベルのデータから、直観的に原子配列を知ることが出来るばかりか、同時に測定される特性X線分光(EDS)や電子線エネルギー損失分光(EELS)のデータと総合的に解釈することで、原子の状態をも解析できるのです。これらの手法は、電子顕微鏡関係の研究者のみが恩恵を独占するのではなく、広くナノテクノロジー研究者全体が利用し、研究の発展に活用するのが理想です。 文部科学省は平成14年度から、透過型電子顕微鏡のうち、特に装置規模が大きく一般の研究機関では導入が難しい超高圧電子顕微鏡の共同利用を目的とした「ナノテクノロジー総合支援プロジェクト・超高圧電子顕微鏡を活用した解析支援」を開始しました。当機構はその中で、電子顕微鏡による支援の幹事機関としてナノテク対応の特徴ある3台の超高圧電子顕微鏡を外部開放し、利用の機会を提供しています。 平成16年度本解析支援は3年目を迎え、運営・活用も軌道に乗り、研究成果が出始めております。現在、登録ユーザー数は300名、16年度は58課題の申請があり、45課題を実施しました。その成果の発表状況を表と図に示しました。これ以外に2件の特許が成果として申請されました。 このように多くの成果が得られ、本解析支援がナノテクノロジー研究者の皆様に広く認知されることによって、多岐に渡る分野の研究課題の提案がなされるようになり、最先端の装置だけでなく新しい技術・手法を開発し、本事業に導入する必要性も感じております。 今後もユーザー各位、ナノテクノロジー関連研究者各位より広くご意見をいただきながら、より多くの研究者の皆さんが電子顕微鏡技術を利用して、ナノテクノロジー分野で大きな成果を上げられるよう、尽力してまいります。 |
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