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特集 持続可能な社会形成を支える
ナノテク・材料研究 I

Si単結晶ナノワイヤーの特性評価と
マイクロデバイスへの応用
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材料研究所
微小造形グループ
鈴木 裕
荒木 弘
土佐 正弘

 シリコンナノワイヤーは、ナノサイズの半導体のみならず、コイル、ナノピンセット、ナノアーム、ナノ回転軸、ナノモータ部品など医療用あるいはサブミクロンサイズのナノマシン用部材として、その用途は極めて広いと考えられます。また、取り扱いの面でも、直径が50nm以上で長さが数mm以上あれば、一般の走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは光学顕微鏡にマニピュレーション装置を組み入れて扱うことが可能となり、組み立て加工も容易となります。現在、世界各国でナノワイヤーの研究開発が微小半導体へ向けられているなかで、私達が開発したcm級長尺ナノワイヤーの実用化は、世界の先端技術開発の競争の中で急務の課題と考えられます。そこで、この長尺シリコンナノワイヤーの熱・電子・機械的物性を明らかにするとともに組成を制御することを試み、マイクロ・ナノマシンシステムへの応用研究を推し進めています。
  作製できるシリコンナノワイヤーには2種類あり、1つは長さが数mm以上に成長し、ワイヤーの操作が容易になるためナノワイヤー1本1本の熱物性、電気特性の測定に適したものと、もう1つは300℃程度以下の低温で作成が可能で、基板への損傷低減や様々なLSI基板への応用が期待されるものです。
  マイクロデバイスへの応用をはかるために最初のステップとして作製したナノワイヤーの材料物性を測定するための冶具デバイスの製作を行っています。図はLSI用リソグラフィーを用いた微細加工により作製したマイクロ測定用冶具デバイスの表面にナノワイヤー(100nm径)をセットした写真です。この測定用デバイスはナノワイヤー1本の熱伝導率を評価することができます。また、微小応力測定用歪みゲージを先端に装備したマイクロ操作プローバーを用いてナノワイヤーの材料強度物性をはかるマイクロ材料試験器の構築も行っております。
  このようにナノワイヤー1本毎の材料物性を精確に評価するシステムが確立されればマイクロデバイスへの幅広い応用が展開されていくものと期待されます。

図1
図   Siナノワイヤーをセットした熱伝導測定用マイクロデバイス.


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