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我々はリートベルト解析プログラムRIETAN-2000と最大エントロピー法(MEM)プログラムMEEDとの連携により構造を精密化するシステムREMEDYを開発し、その有効性を実証してきました。REMEDYでは、MEM解析と全パターン・フィッティングを交互に繰り返す反復解法の採用により、リートベルト解析の構造モデルが電子・核密度分布に及ぼすバイアスを減らすよう努めています(図1)。 放射光を用いれば、きわめて分解能が高い粉末回折データを測定でき、豊富な構造情報が手に入ります。そこで、SPring-8のBL15XUで稼働し始めた粉末回折装置により種々の化合物の強度データを測定し、REMEDYの解析能力をテストしてみました。アンジュレータ光源の高い輝度と指向性を活かしたこの装置は、世界最高クラスの角度分解能を誇っており、そのような目的にうってつけです。 NaSi2O4(OH)・3.7H2O(カネマイト)はSiとOからなる骨格層の間にNa+イオンのアクア錯体を含んでおり、骨格表面の水酸基は==Si_OH...OH2という水素結合を形成しています。REMEDYを用いた解析により、積分強度に基づくR因子は0.94%にまで改善されました。図2に示す電子密度イメージは、Si_O結合とアクア錯体のやや不規則な配置を見事に捉えています。 REMEDYは結晶構造・電子密度の三次元可視化ソフトをも包含した壮大なシステムへと発展を遂げつつあります。本システムが粉末X線回折データに広く適用され、電子レベルの情報に基づく構造物性や結晶化学の研究に貢献し続けることを願ってやみません。 |
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図1 REMEDYによる構造精密化のフローチャート |
図2 カネマイトの電子密度分布イメージ |