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実用化研究超耐熱材料センターでは、これまでに世界最高の耐用温度を有するNi基単結晶超合金やNi-Co基鍛造合金などを開発してきました。この成果を産業用ガスタービンや航空機用ジェットエンジンに適用し、エンジン作動温度を高めて熱効率の抜本的な改善を行い、CO2削減と燃費削減に貢献することを目標にして、企業と連携して実用化を推進しています。 天然ガス複合発電の現行のタービン入口温度は最高1500℃、熱効率は52%(HHV基準)ですが、これを1700℃にすると熱効率は56~60%に向上します。熱効率56%の発電所で従来の石炭火力発電所の半分を代替することによって、国内総排出CO2の約4%が削減可能と試算されています。1700℃大型ガスタービン実現へのキーとなるのがタービン動翼などの高温化技術です。超耐熱材料センターは三菱重工業と共同で、現行の合金に比べ低コストでクリープ強度と熱疲労強度の優れた単結晶合金を開発し、実機動翼の試作まで行ないました。2015年頃の実用化を目標に、今後も研究開発を進めていきます。■高性能Ni基単結晶合金の天然ガス複合発電用大型ガスタービン翼への実用化研究 ガスタービン排出ガスの熱を排熱回収ボイラで回収して電力と熱(蒸気や熱水)を併給するコージェネレーション(熱電併給)システムは、工場や事務所ビル、ホテル、病院、地域冷暖房などで導入が進んでいます。そこに用いる中小型ガスタービンでは、発電効率を向上して電力比率を向上させるためにタービン翼の耐熱性向上が重要な課題となっています。超耐熱材料センターと川崎重工業が共同開発した合金のタービン動翼をエンジンに組み込み、実機運転試験に成功しました。川崎重工業(株)との中小型発電ガスタービン材料の共同研究■高性能Ni基単結晶合金のコージェネレーション用中型ガスタービン翼への実用化研究 エアラインの燃料費は、全ての経費の約10%を占め、運行費用の中の約30%を占めます。したがって、エンジン燃料消費率(SFC)改善はCO2削減・地球温暖化防止とともに、特に運航費用低減の観点から非常に重要な課題です。超耐熱材料センターはロールス・ロイス(RR)社と共同して、大型民間航空機用ジェットエンジンの最高温部(タービン翼)で使う耐熱性に優れたNi基単結晶超合金の開発を行っています。現用合金より約100℃高い世界最高の耐用温度1150℃の合金開発が目標であり、2012年にRR社製エン■高性能Ni基単結晶合金の民間航空機用中・大型ジェットエンジン翼への実用化研究ボーイング787(2010年就航予定)熱電併給(コージェネレーション)プラント天然ガス複合発電プラントエアバス350XWB(2013年就航予定)タービン翼(高性能Ni基超合金)タービン翼(高性能Ni基超合金)タービン翼(高性能Ni基超合金)中型ガスタービン(川崎重工)大型ガスタービン(三菱重工)中・大型ジェットエンジン中・大型民間機(200~300座席以上)耐熱温度の向上燃焼ガス温度上昇CO2削減、燃料消費量低減100mm2ロールス・ロイス社との航空機用大型エンジン材料の共同研究3三菱重工業(株)との1700℃発電ガスタービン材料の共同研究12009. Vol.9 No.8藤岡 順三小泉 裕坂本 正雄鉄井 利光超耐熱材料の実用化研究の取組み

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