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「エコマテリアル」ってなあに?

 金属やプラスチック、ガラスなど「材料」のことを英語で「マテリアル」といいます。地球環境を壊さないように、環境のことを考えながら作った材料を「エコマテリアル」といいます。


 エコマテリアルはEnvironmental Conscious Materials(環境を意識した材料)から生まれた造語で、「優れた特性・機能を持ちながら、より少ない環境負荷で製造・使用・リサイクルまたは廃棄でき、しかも人に優しい材料(および材料技術)」と定義できます。「エコマテリアル」という概念は日本国内の材料研究者の議論の中で誕生し、世界的に認知されるようになりました。現在も多くの優れた環境調和型材料技術が日本から生み出されています。
 Ecological Materials という意味で使用されることもあります。



なぜ、エコマテリアルが必要なの?

 ものを生産したり、車を走らせたり、木を切り倒したり、人間が行う活動によって地球が人間によくない環境になることを「環境問題」といいます。環境問題を解決することは、みんなが元気に生活するためにも、人類が繁栄していくためにも、とても大切なことです。環境問題に立ち向かうためには、みんなが使ういろいろなものに使用されている「材料」がまず、環境問題を考えたものに生まれ変わらなくてはいけないのです。

→環境問題についてもっと詳しく知りたい人はここを見てみよう。



 産業革命以来、人類は地球上の資源を利用し物質文明を押し進めてきました。特に先進諸国は大量生産・大量消費社会を作り上げ、ものが溢れ返るほどの繁栄を手に入れています。しかし、我々の活動は同時に人類を取り巻く地球環境にも大きな影響を与え、様々な環境問題を引き起こしました。人類が末永く繁栄するためには、地球環境と調和しながら「持続可能な」発展を目指さなくてはなりません。そのための基盤として、材料と材料技術も新たな進化をとげていく必要があるのです。



エコマテリアルには、どんな種類があるの?

ひとくちに環境問題といっても、たくさんの問題があります。だから、それを解決するためのエコマテリアルも、いろいろな種類があります。例えばどんなふうに環境に役立つかで分類すると、下のように分けることができます。

環境に負担をかけずに処分できる材料
環境に負担をかけずに作った材料
有害物質を含まない材料
環境をきれいにする材料
省資源な材料
エネルギーを有効に使うための材料
      
 木材など天然素材はほとんどが優秀なエコマテリアルといえます。また、研究者や技術者の努力によって、たくさんの材料がエコマテリアルに改良されたり、新しいエコマテリアルが開発されたりしています。エコマテリアルの種類はどんどん増えています。
 

 環境を意識した材料というと、リサイクル材料や有害物質フリーな材料がイメージしやすいかもしれません。しかし、
環境に配慮した材料はすべてエコマテリアルといえます。低環境負荷で製造できる材料、環境を浄化する材料、物質・エネルギー効率の高い材料なども重要なエコマテリアルと考えられています。また、材料単体のエコマテリアル性だけでなく、燃料電池など環境調和型エネルギーシステムを実現するために必要な材料の価値も当然評価されるべきです。エコマテリアル技術の進歩と材料学者の議論の深まりにつれて、エコマテリアルの範疇に入る材料は日々増えていると言っても過言ではありません。
→さらに詳しく知りたい方はエコマテリアル研究センター各研究グループホームページをご覧下さい。  
環境循環材料グループエコデバイスグループ環境エネルギーグループ環境浄化材料グループ



「ライフサイクルアセスメント(LCA)」って?

 使う時にどんなに環境によくても、処分する時に有害な材料では困ります。作るときに少々エネルギーを多く使っても、使う時にものすごく省エネルギーに役立つ材料ならば使う価値があるかもしれません。材料が本当に環境によいかどうかを見極めるのは実はとても難しいのです。材料が一生の間にどのくらい環境に負担をかけるか判定することを「ライフサイクルアセスメント」といいます。


 「エコマテリアルには、どんな種類があるの?」で挙げたように、製造時、使用時、廃棄時それぞれの場面で環境負荷低減に役立つ材料があります。しかし、ある一面だけを捉えて「この材料はエコマテリアルだ」と評価するのは危険です。製造時から廃棄時まで、トータルでどれだけ環境負荷を生み出しているのかを評価する「ライフサイクルアセスメント(LCA: Life Cycle Assessment)」が非常に重要です。また、発生する環境負荷と得られる機能・特性のバランス(資源生産性)を考えることも最近では重視されるようになっています。
エコマテリアル研究センターでは、LCA手法の開発と素材の基礎データ整備を行っています。
こちら



みんなで考えよう、環境のこと

 私たち「エコマテリアル研究センター」は環境問題を解決するためエコマテリアルの研究をしています。材料の進歩だけでは環境問題は解決できませんが、とても重要な部分を背負っています。みなさんも、環境のことをよく考え、環境のためにできることを身近なところから始めてみて下さい。物を大切に使う、節約をする、むやみにごみを捨てない、できることはたくさんありますよ。


 「地球に優しく」と安易に言う人が増えましたが、平均気温が2度上昇しようと、オゾン層がなくなろうと、緑が消えようと、別に地球は困りません。45億年の歴史の中では単なる「前にもあったこと」です。困るのは今地球上で栄えていたい人間なのです。謙虚に、素直に、自分達と後に続く世代のために地球環境を守っていく姿勢こそが必要です。思い上がった「地球のために」ではなく、一番身近で大切な「自分達と未来ある子供達のために」なのです。我々エコマテリアル研究センターは、材料技術の進歩を通じて環境問題に立ち向かい、明るい人類の未来を切り開いていきます。みなさんも、自分に何ができるかをもう一度よく考えて下さい。そして、できることを始めて下さい。

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