
“Smart”ポリマーとは?
わたしたちの体の中のタンパク質は、熱などが加わると変性します。例えば、熱したフライパンに生卵を落とすと白身が白くなったり、肉を熱するとだんだん弾力を失って固くなったりします。このような生体システムにヒントを得て、さまざまな外部環境変化(例えば温度、pH、光、磁場など)に応答してその性質を変化させるように人工的に設計した高分子のことを“Smart”ポリマー(または刺激応答性高分子)と呼んでおります。わずかな刺激に応答して、しかも可逆的にその性質を‘On-Off’で変化させることができるため、様々な用途への応用が期待されています。特にわたくしたちは、環境・エネルギーを考慮し、系全体ではなく局所的な温度やpHを変化させることに注目し、新しい“Smart”ポリマーを設計しております。

新しい分子設計とは?
使用目的に合った機能的な“Smart”ポリマーを合成するには、複数の機能を導入した新規なポリマーの設計が必要となります。その際、既存(市販)のモノマーを混ぜ合わせるだけの共重合法を行うと、お互いの特徴を打ち消しあってしまい、“Smart”さが失われてしまうと言う矛盾点がございました。そこで私たちのグループでは、モノマーレベルから分子設計を行うことで、これまでにないまったく新しい“Smart”ポリマーの合成に成功しております。具体的には、まったく別の性質を有するモノマー同士が互いの性質を邪魔しないように“構造類似”させることによって、複数の機能を同時に発揮できるように設計しております。

(参考文献)
T. Aoyagi, M. Ebara, K. Sakai, Y. Sakurai and T. Okano, "Novel bifunctional polymer with reactivity and temperature sensitivity", Jounal of Biomaterials Sciences, Polymer Edition, 11, 101-110 (2000)
M. Ebara, T. Aoyagi, K. Sakai and T. Okano, "Introducing reactive carboxyl side chains retains phase transition temperature-sensitivity in N-isopropylacrylamide copolymer gels", Macromolecules, 33, 8312-8316 (2000)
さまざまな刺激とは?
| その1.熱 |
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| 温めると“Smart”ポリマーが脱水和・凝集して白く濁ります。まるで卵の白身のようですが、“Smart”ポリマーの優れている点は、また冷やすと再び元の透明な状態に戻ることです。白く濁る温度も自由に設計可能です。 |
| その2.光 |
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| 光を照射すると、光が当たったところだけpHがジャンプして色の波長が変わります。これはPhoto Acid Generator (PAG)と言う化合物を使うことで実現できます。この方法を用いることで、系全体のpHを変えることなく、部分的な空間のpHだけ変化させることができます。 |
| その3.磁場 |
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| “Smart”ポリマーに磁性粒子を含有させることで、交流磁場に応答してポリマーを脱水和・凝集させることができます。この方法を用いることで、系全体の温度を変えることなく、ポリマーの物性を変化させることができます。 |
| その4.形状記憶 |
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| 生分解性の脂肪族エステルを用いて“Smart”ポリマーを設計することで、親水・疎水の変化ではなく、硬さ・柔らかさを'‘On-Off’で制御することができます。どんな形に変形させても、ある温度になると元の形状に戻る“形状記憶”を示す材料を作ることができます。 |
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