10:10-11:00
【基調講演】表面局所分析の最近の動向
二瓶好正教授(東京理科大学)
- 先端計測分析技術・機器開発の方向と目標を中心に述べる。科学と技術の進歩
に計測分析機器が如何に大きな貢献をしたかについて述べ、米国の動向、特
に、ブッシュ政権のイノベーション戦略において、計測分析技術・機器開発重
視政策について述べる。結論として、我が国の科学技術政策において、装置化
研究が如何に重要であるかを考察して締めくくる。
11:00-11:35
環境場制御された走査型プローブ顕微鏡によるナノ物質材料研究
藤田大介グループリーダー(NIMS先端プローブ顕微鏡グループ)
- 様々な環境場における高分解能走査型トンネル顕微鏡・原子間力顕微鏡の開発と
材料研究への応用について紹介する。極低温・超高真空環境STMによる半導体表
面の量子ナノ構造創製やドーパント分布計測、高温・超高真空AFM/STMによるシ
リコン酸化膜の還元過程と清浄表面のラフニング過程、応力場印加STMによる表
面ドメイン制御、探針電場印加によるメタルナノ構造の創製、当グループの最近
の研究事例について紹介する。
11:35-12:10
表面電子分光のための電子シミュレータの開発
田沼繁夫グループリーダー(NIMS先端表面化学分析グループ)
- 表面分析用電子シミュレータの電子輸送モデリングにおける重要なパラメータの一つである電子の阻止能のデータベース化について言及すると共に、開発中の電子シミュ
レータを電子の絶対弾性散乱分光法により計測された弾性散乱ピーク強度の解析に適
用した例をを紹介する。
14:00-14:35
炭素系物質における超高速キャリア・フォノンダイナミックスの計測
北島正弘グループリーダー(NIMS超高速現象計測グループ)
- 電子・格子相互作用は電子輸送、超電導、発光及び相変態など固体の諸物性を支配する重要な過程である。我々はフェムト秒レーザー励起によるコヒーレントフォノンの観察から、金属・半金属および半導体における電子・格子相互作用の超高速ダイナミクスについて計測を行っている。昨年度成果発表会ではグラファイトなどの炭素系物質の計測について一部紹介した。今回はカーボンナノチューブのキャリアとフォノンのダイナミクスに関する最近の成果を中心に報告する。
14:35-15:10
強磁場NMRの開発と材料分析への応用
清水禎グループリーダー(NIMS強磁場NMRグループ)
- 強磁場固体NMRで用いる計測器開発の第一段階を終了した。開発した主な技術は、930MHz磁石用の基本プローブ一式、および、ハイブリッド磁石の高安定・高均一磁場発生技術である。開発した装置の性能評価を兼ねて、実用材料の分析に応用した結果などを報告する。従来型NMRやX線、電顕などでは測定困難だった局所構造などについて新しい知見が得られることを実証した。
15:30-16:20
【特別講演】収差補正STEMによるナノ界面計測
幾原雄一教授(東京大学大学院総合研究機構)
- 材料の諸特性は粒界や界面の原子構造・組成・状態と密接に関係しており、
材料設計のための指針を得るためにはその構造や状態を高分解能で計測する必要
がある。本講演では、球面収差補正装置を用いた走査透過電子顕微鏡法(STEM)に
よる粒界・界面の超微細計測について最新の研究成果について紹介する。
16:20-17:00
高機能・走査透過型電子顕微鏡(STEM)の開発と先端材料研究への応用
松井良夫グループリーダー(NIMS先端電子顕微鏡グループ)
- 最近の、球面収差補正や電界放出型電子銃等の飛躍的な技術発展を背景に、先端電子顕微鏡グループではいくつかの特徴ある走査透過型電子顕微鏡
(STEM)を開発して来た。今回は、(1)収差補正型STEM、(2)原子識別型STEM及び(3)共焦点結像型STEMの開発状況と、先端材料研究
への応用例を紹介する。