研究活動

研究活動

SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)“インフラ維持管理・更新・マネジメント技術”

土谷浩一
研究開発責任者 : 土谷浩一

概要

企業・大学・関連機関が連携し、材料工学と土木工学の異分野融合研究により、地方自治体等のインフラ構造物管理者による省力・低コストかつ計画的な社会インフラ構造物の維持管理を可能にする技術を開発する。腐食環境センサ・非破壊検査技術等を活用し、構造物を取り巻く環境・構造物内部環境と、鋼材の腐食生成物やコンクリートひび割れ、耐荷重性能劣化との相関を明らかにし、余寿命診断技術を高度化する。また、高効率補修材料技術や高耐久性材料を開発する。技術ニーズを的確に把握し、規格化・標準化により開発技術を速やかに社会実装につなげる。

研究内容

本提案では、インフラ構造物の高精度余寿命診断と計画的かつ低コストな補修・補強を可能にする。図1に示す腐食ひび割れと構造耐荷力に着目した維持管理フロー(京都大学 宮川豊章教授)を実現するために①鉄筋コンクリート構造物における鉄筋腐食機構の解明、②腐食ひび割れによる鉄筋コンクリート耐荷力との相関、③補修材料の開発を中心とした研究を行う。
多岐にわたるコンクリート構造物の供用環境を、腐食センサやコンクリート内部環境センシングにより、コンクリート中の鋼材腐食の観点から整理、把握する。構造物内部の鋼材周辺の塩分、pH、酸素あるいは水分などの定量モニタリング技術を確立し、腐食生成物の種類との関係を体系化する。腐食生成物の生成過程をナノ~マクロのマルチスケールで詳細に解明し、環境・腐食因子から腐食生成物の体積膨張倍率の推定を可能にする。さらに模擬構造体の曲げ載荷試験と腐食加速試験、非破壊検手法、表面変状可視化技術を組み合わせ、鋼材腐食と腐食ひび割れ変状、耐荷力の相関について実験的に明らかにするとともに、ひび割れを定量指標とする部材の健全性診断の基盤技術を構築する。また、東京工業大学 坂井悦郎教授と連携し、塩化物固定能とひび割れ抵抗性を有する補修材料、水中硬化可能な高分子系補修材料の開発を行う。

研究体制

研究項目①、②、③に対応する以下のサブクラスターを設置して図2のような体制で研究を推進する。 ① 腐食劣化メカニズム サブクラスター サブクラスター長:西村俊弥(NIMS)、副サブクラスター長:片山英樹(NIMS) ② 腐食ひび割れ サブクラスター サブクラスター長:宮川豊章(京大)、副サブクラスター長:不動寺浩(NIMS) ③ 補修材料 サブクラスター サブクラスター長:坂井悦郎(東工大)、副サブクラスター長:内藤昌信(NIMS) これらサブクラスター活動と平行して、既存の補修材料についての共通評価手法を業界に提案し標準化するための、産学の委員からなる補修材料評価方法検討委員会の活動を行う。
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