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本郷宏通嘱託職員(構造材料研究拠点 構造材料試験プラットフォーム/クリープグループ)田淵正明グループリーダー、松永哲也主任研究員(クリープ特性グループ)が「日本材料強度学会 論文賞」を受賞

2018.06.28
本郷宏通嘱託研究員、田淵正明グループリーダー、松永哲也主任研究員は、日本材料強度学会(会長:岸輝雄氏)にて審査の結果、「日本材料強度学会 論文賞」を受賞しました。

題目:Gr.91鋼溶接継手の長時間クリープ強度と破壊
本郷宏通、田淵正明、松永哲也、
日本材料強度学会誌 Vol.50, No.2 (2017) pp.25-34.

【論文要旨】
改良9Cr-1Mo鋼(ASME Gr.91鋼)は,蒸気温度約600 ℃の超々臨界圧(USC)発電プラントで、主要高温構造材料として広く使用されている。著者らは、Gr.91鋼の溶接部のクリープ損傷と破壊に関する研究を継続して行ってきたが、本論文では、約60,000 hまでの長時間クリープ破断データを得た。600℃,約10,000 hで破断した溶接継手の破断位置は細粒HAZ(溶接熱影響部)であるが、30,000 hを超えると細粒HAZだけでなく溶接金属にもクリープ損傷が見られるようになること、約60,000 hでは溶接金属破断が生じることを明らかにした。
溶接金属の硬さは、600℃,10,000 hを超えると組織の回復により急速に低下し、母材よりもかなり低い150 Hvとなった。溶接金属は溶接性や破壊靱性の観点から、C、Nb、Nの添加量が母材よりも少ないため、析出物の数と密度が小さく、回復が進みやすいことが原因と考えられた。溶接継手のクリープ強度は、長時間側では再現HAZ材のクリープ強度よりも低下する。溶接継手の寿命予測においては、多軸応力の影響を大きく考慮する必要があることを明らかにした。また、本論文で得られた溶接継手の長時間クリープ破断データは、溶接継手低減係数に反映され、高温機器の設計や余寿命診断に参照されている。
受賞時の様子


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