イベント

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第22回NBCI-NIMS合同連携セミナー(構造材ゼミ022)

2016.04.27 15:00 ~ 2016.04.27 18:20

開催目的

本セミナーは、NBCI(ナノテクノロジービジネス推進協議会)材料分科会とNIMSが以下の目的に基づき共同企画し、隔月でつくばにて開催しています。
① NIMSは、自分たちが進める最先端研究を民間企業に紹介することにより、その最先端研究に対する民間企業のニーズを知る。
② NBCI会員企業は、NIMSが進める最先端研究が自分の仕事に如何に役立つかイメージする。
③ NIMSから紹介された研究テーマで興味深いものについては、連携の方法を含めてNIMSとNBCI会員企業との連携について考えていく。
 
受講者は原則としてNBCI会員に限られますが、定員の枠内であれば、NBCIを通して非会員の方の受講も歓迎します。受講を希望される方はNBCI事務局にお問い合わせください。
 
お問い合せ先:NBCI材料分科会事務局 
E-Mail:nbci08=nbci.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください) 

プログラム

日時

2016年4月27日(水)15:00-18:20(懇談会を含む)

場所

千現地区 先進構造材料研究棟 5Fカンファレンスルーム(見学場所:材料信頼棟2階)

プログラム

15:00-17:15
 講演、施設見学、質疑
17:20-18:20
講師を囲む懇談会 (懇談会参加費1,500円)
 
テーマ:
ナノとバイオとの融合の進展 -NIMS分子・物質合成プラットフォームでの実践事例-
キーワード:ナノ粒子、タンパク質、遺伝子、試料作製から評価・解析まで
 
 
講師: 
箕輪 貴司(みのわ たかし)
講師は、農学系大学院で酵素学を修め、米国NIHで哺乳類細胞と遺伝子を用いた遺伝子発現機構の研究に従事。帰国後、日本たばこ産業医薬事業部では遺伝子組み換え技術・タンパク質解析技術等をもちいた薬剤の反応機構を、日立製作所ライフサイエンス推進事業部では遺伝子解析事業に従事しました。その後、現職に移り、ナノネット時代を含めると10年近い活動実績があります。今回は講師の得意分野であるバイオ系を含んだ代表的な実施例を選んでいくつか紹介します。

概要

NIMS分子・物質合成プラットフォームは,バイオテクノロジーとナノテクノロジー・材料科学の融合に関する研究開発が進んでおり、ナノ・バイオの基礎基盤研究から社会や産業に役立つイノベーション技術の創出まで行うことができる研究環境(装置およびノウ・ハウ)を提供しています。
本プラットフォームは、「生体分子調製エリア」、「細胞培養エリア」、「バイオイメージングエリア」、「有機・高分子材料創製エリア」、「機器分析エリア」等、5のエリアからなっています。
利用者は、「細胞培養エリア」で、新規に開発した材料を培養シャーレにいれ、哺乳類細胞を数日間培養し、「生体分子調製エリア」では、細胞から遺伝子やタンパク質を取り出し、その発現の変動状況等の観察が、また、「イメージングエリア」では、材料と細胞の相互作用の状況等の観察が可能です。更に、「有機・高分子エリア」で合成・調整した材料の物性を「機器分析エリア」での測定等も可能です。すなわち試料作成から評価・解析まで一連の実験が一か所で完結可能です。
これら複数の装置を利用した「サンプルの調整から分析まで」を優秀なスタッフが終始一貫してサポートします。今回は、以下の例を中心に紹介します。
実施例1)生きた細胞を利用した材料評価:
がん細胞可視化をねらったナノ粒子が細胞毒性を持たないことを確かめた。
実施例2)ウィルスレセプター遺伝子の同定:
手足口病を引き起こすウィルスの受容体タンパク質をコードする遺伝子をマイクロアレイという手法で絞り込んだ。(参考文献 1)
実施例3)臨床サンプルのプロテオーム解析:
がんなどの臨床サンプルを健常サンプルとタンパク質レベルで比較し、病因解析やマーカー探索へとつなげた。(参考文献 2, 3)
 
参考文献
1) Scavenger receptor B2 is a cellular receptor for enterovirus 71.
Yamayoshi S, Yamashita Y, Li J, Hanagata N, Minowa T, Takemura T, Koike S.
Nat Med. 2009 Jul;15(7):798-801
2) Mass spectrometry-based proteomic analysis of formalin-fixed paraffin-embedded extrahepatic cholangiocarcinoma.
Maeda S, Morikawa T, Takadate T, Suzuki T, Minowa T, Hanagata N, Onogawa T, Motoi F, Nishimura T, Unno M.J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2015 Sep;22(9):683-91.
3) Novel prognostic protein markers of resectable pancreatic cancer identified by coupled shotgun and targeted proteomics using formalin-fixed paraffin-embedded tissues.
Takadate T, Onogawa T, Fukuda T, Motoi F, Suzuki T, Fujii K, Kihara M, Mikami S, Bando Y, Maeda S, Ishida K, Minowa T, Hanagata N, Ohtsuka H, Katayose Y, Egawa S, Nishimura T, Unno M. Int J Cancer. 2013 Mar 15;132(6):1368-82
 
 

開催報告

会員6社から6名の受講者に加え、非会員会社から1名の参加があり、NBCI事務局他を加え、10名の外部参加があった。本企画でのバイオ関係セミナーは二回目だが、バイオ関係テーマは他のテーマと比べて受講者は少ない傾向がある。
長井構造材料研究拠点長の司会で、本題の講演と設備見学の後、まず一回の質問時に一つの質問という、いつものスタイルで、企業受講者全員からのQ&Aが行われた。
講演では、「ナノとバイオとの融合との進展」とした切り口で、物質・材料研究の医療への応用を視野に入れた最先端の研究を紹介した。NIMS分子・物質合成ナノプラットフォームでは、試料作成から評価・解析まで一連の実験が一カ所でできるということをアピールした。 これらに対して、NIMSで新しい挑戦が始まっていることへの期待や注文、利用を希望するNBCI会員企業にとっては使い勝手がいい、という受講者の感想が多く寄せられた。
質疑応答で、特に重要な話題になったことは、講師が「生物資料を用いた実験においては、研究者の個人差などによって得られる結果がばらつく場合がある、つまり再現性を得るのが難しい場合もある」と紹介した点である。
後日談だが、再現性がある程度出せているのはとりもなおさずスタッフの手腕によるところが大きいと思われるので、私どもの強みの一つはスタッフの力量そのもの、ということを再認識することができた。このセミナーがその貴重なきっかけになったことに大いに感謝している。
セミナー概況
講演する箕輪 貴司主幹エンジニア
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