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研究活動

巨大保磁力をもつイプシロン型酸化鉄の理論解析

第75回応用物理学会秋季学術講演会, 北海道大学札幌キャンパス, 北海道

2014年9月18日(木)

平井大介、常行真司、合田義弘 ( 東京大学 )

概要/Abstract

イプシロン型酸化鉄は 2T 以上という金属酸化物中最大の保磁力を示す [1,2]。しかし、この保 磁力の起源は全く明らかになっていないのが現状であり、応用の観点のみならず基礎科学的な観 点からも興味深い問題である。また、この物質は酸素を介した超交換相互作用によるフェリ磁性 を示すため本質的に磁化が小さく、この改善は応用に向けて重要なファクターとなる。そこで本研究では、密度汎関数理論に基づく第一原理電子状態計算によって、イプシロン型酸 化鉄の磁気特性の解明に取り組んだ。解析には第一原理電子状態計算コード OpenMX [3]を用いた。 解析の結果、イプシロン型酸化鉄は磁化を持たず、そして、面内異方性を示すことが分かった。 これは、有限の磁化、面直異方性を示す極低温測定の結果を説明することができない。そこで、 酸素空孔欠陥の磁性への影響を調べた。イプシロン型酸化鉄は単位胞に非等価な 6 つの酸素サイ トを持つ。40 原子サイトからなる単位胞あたりに一つの酸素空孔を導入した結果、特定の一つの 酸素サイトが空孔になった場合にのみ有限の磁化が生じることが分かった。また、この構造は他 の酸素空孔を持つ構造の中で最安定であることも明らかにした。酸素空孔をもつ場合の結晶磁気 異方性解析も行った。その結果、酸素空孔がない場合には測定結果とは異なる面内であった異方 性が、c 軸を容易軸とする面直異方性に変化することを突きとめた。さらに、酸素空孔近傍の鉄 の3d !!軌道と3d!"軌道のスピン−軌道相互作用による結合が、酸素空孔を含むイプシロン型酸化鉄 の結晶磁気異方性に支配的な寄与をしていることも解明した。解析の詳細は講演で報告する。

References

[1] S.-I. Ohokoshi et al., Bull. Chem. Soc. Jpn 86, 897 (2013).
[2] M. Yoshikiyo et al., Bull. J. Phys. Chem. C 116, 8688 (2012).
[3] www.openmx-square.org.


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