ホーム > 研究活動 > 口頭発表(2014) > 希少元素フリー高性能磁石創製のための放射光ナノ解析

研究活動

希少元素フリー高性能磁石創製のための放射光ナノ解析

元素戦略プロジェクト<研究拠点形成型>・大型研究施設(CMSI・SPring-8・J-PARC・KEK)連携シンポジウム2014~大型研究施設を利用した物質・材料研究の課題共有と共創~

中村哲也 ( JASRI/SPring-8 )

概要/Abstract

“元素戦略”に基づく磁石材料研究の目的は、希少元素を用いない高性能永久磁石の創製である。
SPring-8では、高性能磁石の要件である保磁力について、その発現機構の解明に取り組んでいる。
その際、φ100 nmのナノビームにより、材料機能の創出を担うナノ~メソスケール領域に放射光のスポットを当て、磁石の微細組織構造を区別した局所物性を直接分析する点が特長である。
さらに、硬X線と軟X線を駆使し、物質内部と表面での物性の違いも明らかにしている。
これによって、ナノ空間分解能での3次元分析の実現を目指している。
SPring-8では、このような放射光ナノ解析で得られた結果をもとに、材料設計や磁石の製造プロセスに対する指針を明示する、というストラテジーのもとで元素戦略研究を進めている。
磁性材料研究拠点では、上述の「希少元素を用いない高性能永久磁石の創製」という目標達成に向け、
1)電子論に沿った原理的な材料設計により、希土類元素を一切使わない究極の希少元素フリー磁石を開発する
2)既存のNd-Fe-B磁石の保磁力を、Dyを添加せずに増強する
という2通りの道筋を推進している。
特に後者は、元素問題解決の社会要請にプロジェクト前半で速やかに応えるためのマイルストーンである。
SPring-8では、この課題解決に貢献する成果として、これまでに二粒子粒界相の磁性評価と、副相の構造および体積分率の決定に成功している。
二粒子粒界相の磁性評価では、SPring-8の軟X線MCDを用いた解析から、従来は高保磁力に有利な常磁性状態にあると考えられてきた二粒子粒界相が、実は、キュリー温度が約250 ℃の強磁性体であることを明らかにした。
この結果から導かれる材料設計として、キュリー温度を磁石の使用温度(ハイブリッド自動車用モーターでは約200℃)以下にする材料開発が重要であるという指針を示した。
一方、高エネルギーX線 (25 keV)を用いた粉末X線回折データから、磁石材料の最適熱処理温度近傍で、副相のNd金属が構造相転移を示すことを明らかにし、微視的な相制御による、磁石材料高性能化への方向性を示した。なお、以上の研究では、磁石メーカーによる研究用試料の提供、拠点での磁石微細構造の観察やマクロな磁気特性評価、さらに、電子論グループによるバンド計算など、元素戦略プロジェクトの枠組みが活かされている。



研究活動

元素戦略拠点

触媒・電池元素戦略拠点
触媒・電池元素戦略研究拠点 (京都大学)
東工大元素戦略拠点
東工大元素戦略拠点 (東京工業大学)
構造材料元素戦略研究拠点
構造材料元素戦略研究拠点 (京都大学)
高効率モーター用磁性材料技術研究組合
高効率モーター用 磁性材料技術研究組合